初心者からプロまで!ナスの栽培方法とそのコツ

初心者からプロまで!ナスの栽培方法とそのコツ

2023.10.14

ナスは美味しさと栄養価の高さから、多くの人に愛される食材の一つです。

焼いて味噌を付けて食べるのも、煮びたしにするのも美味しいですよね。

ナス栽培は初心者からプロまで幅広い農家が行っており、毎年美味しいナスを育てています。

ただ初心者でも育てられるといっても、適当に育てても美味しいナスはできません。

この記事では、ナスの栽培方法とコツを解説し、誰でもナスの栽培に成功できるように詳細に紹介します。

ナスを育てる醍醐味を探りながら、美味しい収穫を目指しましょう。

目次
  1. ナスは初心者にもおすすめの食用植物
  2. ナスの品種と特性!人気の白ナスとは
  3. ナスの栽培方法
  4. 栽培時の注意点
  5. 農機具の助けを借りつつ美味しいナスを作ろう

1. ナスは初心者にもおすすめの食用植物

ナス(学名: Solanum melongena L.)は、栽培が比較的容易であり、初心者からプロの農家まで幅広い人におすすめの食用植物です。

実際に筆者も長野県で育てていますが、水の管理と収穫の時期さえ間違えなければ収穫はできます。

この記事では、ナスの栽培方法とそのコツについて詳しく紹介します。

ナスの生育期と収穫の時期

茄子の栽培条件

ナスは、春から夏にかけての生育期に栽培されます。

通常、種まきから収穫までには約60~80日です。

開花後15~20日前後に収穫でき、1~3番果や多く着果した時は若どりすることで、株の負担を軽減し、その後の生育と着果を促進します。

ナスの栽培に適した土地と気候

ナスは日当たりのよい場所を好みます。

ナスは高温に強く、夏の暑さにも耐えることができる植物です。

日照時間が長く、日射量が多いほど収量も増加します。

なので、ナスの生育に有利なのは熱帯気候に属する地域です。

逆に北海道など寒冷な気候や土地では、ハウス栽培などをする必要がでてくるかもしれません。

土壌は中酸性から中性が適しており、水はけの良い肥沃な畑がナスの栽培に適しています。

育てやすさ

ナスは比較的育てやすい野菜の一つです。

高温に強く、雨にも比較的強いため、作りやすい環境を提供することで収穫が期待できます。

ただし、水を欠かさず管理し、連作を避けることが重要です。

筆者はトマトなどの栽培で慣れたため、水を少なくして育ててしまったことがあります。

結果的に萎れてしまい、生育が悪くなりました。

トマト栽培に慣れている人は味を濃くするために水を与えない人がいます。

しかし、ナスは多めに水をあげることが重要です。

ナスを栽培するメリット

ナスの栽培にはさまざまなメリットがあります。

ナスは多くの料理に利用できる多用途な食材であり、特に揚げ物や炒め物に向いています。

また、栄養価も高く、食物繊維が豊富に含まれています。

ナス1個には約5〜10ミリグラムのビタミンCや、約6〜8マイクログラムのビタミンKなどが含まれています。

ビタミンCは抗酸化作用があり、免疫システムをサポートします。

ビタミンKは血液凝固を助け、骨の健康に寄与する成分です。

ただ、量としては多くなく、1個食べると1日に必要なビタミンC、Kの摂取量の10分の1程度になります。

また塩分を排出するカリウムや、ポリフェノール、ナスニンと呼ばれる炎症を抑制し血糖値を安定させる効果も含まれていることが特徴です。

さらに、ナスの多彩な品種や色合いは、楽しみながら栽培する醍醐味でもあります。

2. ナスの品種と特性!人気の白ナスとは

ナスはさまざまな品種が存在し、その特徴や食べ方も多彩です。

以下では代表的な品種や特産の品種、海外の品種について紹介します。

代表的な品種

千両なす

千両ナス

日本で最もポピュラーな品種で、長さ12~15cmの長卵型をしています。

煮る、焼く、揚げる、炒めるなど、多くの調理法に適しています。

長なす

長ナス

長さ20~25cmの細長いなすで、秋田県の「河辺長なす」や大阪府の「大阪長なす」などがあります。

揚げ浸しや焼きなす、グラタンに向いています。

大長なす

長なすよりも細長く、40~60cmにもなる大きな品種で、九州で栽培されています。

皮は固めで、焼きなすにすることが一般的です。

丸なす

丸ナス

丸い形が特徴で、東北から北陸、関西で栽培されています。

しっかりとした肉質で、煮物や田楽に適しています。

小なす

重さ10~20gでかわいらしい大きさの小なす。

漬物や煮物、炒め物、天ぷらなどに利用されます。

伝統野菜・特産の品種

賀茂なす

加茂ナス

京都の京野菜で、丸い形とずっしりとした重みがあります。

甘みとコクがあり、みそ田楽などで提供されます。

泉州水なす

泉州水ナス

大阪南部の泉州地域で栽培され、水分を多く含み、皮が薄くてやわらかい特徴があります。

サラダなどに向いています。

熊本赤なす

熊本赤ナス

熊本で栽培される品種で、ジューシーな肉質が特徴です。

焼きなすに向いています。

青なす・白なすなどその他の品種

青なす

青ナス

皮が緑色をしており、アントシアニンを含まないため紫色ではありません。

煮物や炒め物に適しています。

白なす

白ナス

アントシアニンを含まない白いなすで、バター炒めや煮物に適しています。

最近では道の駅などでもよく見かけるため、筆者も育てたことがあります。

焼くと通常のナスと違いトロトロになるため、人気の食材です。

海外の品種

ゼブラなす

ゼブラナス

イタリア原産で、皮に縞模様がある品種です。

焼きなすや煮込み料理に向いています。

ローザビアンカ

ローザビアンカ

イタリアの品種で、縦に筋が入っています。

焼き物やフライに適しています。

これらの品種にはそれぞれ特有の特性があり、さまざまな料理に活用できます。

お好みの品種を選んで、おいしいなす料理を楽しんでみてください。

3. ナスの栽培方法

ナスの栽培は、美味しい収穫を得るために重要なステップがたくさんあります。

以下では、ナスを栽培する基本的な手順を紹介します。

土壌の選び方

ナスは中酸性から中性の土壌を好みます。

耕土が深く、水はけの良い畑が適しています。

土壌の調整は栽培成功の鍵です。

十分な肥料と水分を供給できるように土壌を整えましょう。

ナスの栽培に適した土壌は、中酸性から中性のもので、耕土が深く、水はけが良いことが求められます。

土壌の調整は、ナスの栽培において非常に重要です。

土壌中に不足している栄養分を補充し、適切な水分供給を確保するために、畑の整備を丁寧に行いましょう。

種まきから発芽、育苗管理まで

ナスの種まきは、箱に育苗土を入れ、種を5mm間隔にまきます。

発芽後は夜温を適切に保ち、本葉2枚になったら12~15cmポットに移植します。

定植苗までの期間に注意深く管理することが成功の秘訣です。

ナスの栽培は、種まきから始まります。

育苗用の箱に育苗土を充填し、ナスの種を5mm間隔でまきます。

発芽後は夜間の温度を適切に保ち、本葉が2枚になったら個別のポットに移植します。

この段階での管理が、健康なナスの成長に不可欠です。

畑の整備と定植

畑の整備は、苦土石灰、堆肥、元肥の施肥、黒色ポリマルチの敷き詰めを含みます。

また、定植は晩霜の心配がなく、最低気温が10℃以上、最低地温が15℃以上になった時期に行います。

畑の準備が整ったら、ナスの定植に取り掛かりましょう。

畑の整備は、土壌の肥沃度を高めるために苦土石灰や堆肥を施し、元肥を与えることが含まれます。

さらに、ナスの生育を助けるために黒色ポリマルチを敷き詰めます。

定植は、晩霜の心配がない時期に行われ、最低気温が10℃以上、最低地温が15℃以上になったら行うのが普通です。

畑の準備が整ったら、ナスの定植を行いましょう。

収穫までの栽培管理、剪定・摘心の方法

収穫までの栽培管理では、追肥や整枝が大切です。

側枝の管理や支柱の設置を行い、健康なナスの成長を促します。

ナスの品質を向上させるために、剪定や摘心も適切に行いましょう。

筆者は頻繁にナスの生育を見られないため、剪定や摘心を月2程度で行っていました。

生育はできますが、やはり色や形は悪くなります。

ナスの栽培では、成長過程で定期的な追肥や側枝の管理が不可欠です。

支柱を立ててナスの健康な成長をサポートし、剪定や摘心を通じてナスの品質を向上させましょう。

これらの管理作業は、収穫に向けてナスの植物を最適な状態に保つのに役立ちます。

収穫

ナスの収穫は開花後15~20日前後に行います。

収穫したナスは、新聞紙かラップに包んで日陰で保存し、鮮度を保ちましょう。

ナスの収穫は、開花から約15~20日後が最適なタイミングです。

4. 栽培時の注意点

ナスを栽培する際に注意すべきポイントは以下の通りです。

初心者が気を付けるべきナス栽培のポイント

ナスを栽培する際には、以下のポイントに注意することが重要です。

適温を保つ

ナスは高温を好む植物で、生育適温は約22~30℃です。

寒冷な気温下では生長が停止することがあるため、適温を保つように心がけましょう。

寒冷な地域ではホットキャップなどを使用して寒風から保護します。

日当たりを確保

ナスは十分な日光を必要とします。

十分な日光を浴びないと、葉が薄くなり、成長が遅くなる可能性があります。

できるだけ日当たりの良い場所に植え付けましょう。

適切な水やり

ナスは水を好む植物ですが、水切れにも注意が必要です。

土の表面が乾いたら適切に水を与え、根が十分に張るまでは特に注意が必要です。

梅雨明け後は水やりに注意しましょう。

肥料管理

ナスは栄養を多く必要とします。

適切な肥料を与え、肥料切れを防ぎましょう。

追肥が必要な場合には、液体肥料を使用して効果的に栄養を供給します。

定期的な収穫

ナスの実は早めに収穫することが重要です。

実を長くつけたままにすると、株が成り疲れし、収穫量が減少する可能性があります。

小さめの実を収穫することで、収穫量を増やしましょう。

注意すべき病虫害

アブラムシ

アブラムシはナスの成長を妨げ、病原菌を招く可能性があります。

早期に発見し、適切な薬剤を使用して防除しましょう。

アザミウマ

アザミウマは葉に付着して養分を吸い取り、葉に白い斑点を残すことがあります。

早期発見と適切な防除が必要です。

ヨトウムシ

ヨトウムシは夜行性の幼虫で、葉を食べることがあります。

夜間に活動するため、夜間の点検が重要です。

コナジラミ

コナジラミは植物の養分を吸い取り、すす病の原因になることがあります。

薬剤耐性に注意し、適切な薬剤を交互に使用しましょう。

タバコガ

タバコガは実を食害することがあります。

実の穴を確認したら、早急に対処しましょう。

ニジュウヤホシテントウ

ニジュウヤホシテントウは葉を食べ、株全体に被害を及ぼすことがあります。

発生を見つけたら適切な薬剤で防除します。

これらの病虫害に対処するために、早期発見と適切な薬剤や防虫ネットの使用が重要です。

また、益虫としてのテントウムシも注意深く観察し、バランスを保つ努力も必要です。

5. 農機具の助けを借りつつ美味しいナスを作ろう

ナスの栽培は、適切な土地と気候条件を選び、種まきから収穫までの工程を丁寧に管理することで、初心者からプロまで誰でも楽しめるものです。

適切な土壌の選定や育苗の管理、畑の整備、収穫までの栽培管理、そして害虫や病気への注意が成功の鍵となるでしょう。

ナスの栽培は多彩な品種や美味しさを楽しむ機会でもあり、失敗を恐れずに挑戦してみてください。

ある程度大量に作り売ることを考えている場合は、農機具があると生育が楽になります。

その際は、中古農機具を使うことがおすすめです。

ナスの栽培を通じて、新鮮で美味しいナスを手に入れ、料理の幅を広げましょう。

この記事の監修者
田中和男
田中 和男
卒業後、地元のJAに就職し30年以上農機センターで勤務。 定年退職後、自ら中古農機事業を立ち上げて地元を中心に販売・買取やレンタルを行う。 農業機械1級整備士の資格あり。 自らも兼業農家として実家の農業を50年近くやっています。