稼げる農家の年収~日本の農業所得の実態

稼げる農家の年収~日本の農業所得の実態

2023.06.13
目次
  1. はじめに
  2. 農家の平均年収
  3. 稼げる農家の年収
  4. 高収益を得るためには?
  5. まとめ

1. はじめに

あなたが新しいキャリアパスを検討していて、農家としての生活を真剣に考えているなら、行き先を正しく選択するための重要な情報が必要です。農業は、自然と共に生き、自分の食料を自給自足する、あるいは他人に提供するという基本的な人間のニーズに応える業界です。しかし、安易に農業を始めると、経済的困難に直面する可能性があります。

この記事では、就農に興味を持つ人々が、新しいキャリア選択についてより深く理解できるように、農家の年収について掘り下げてみます。日本全体の平均的な農家の収入から、特定の農産物や地域に特化した場合の年収まで、さまざまな角度から見ていきます。

2. 農家の平均年収

日本全体の農業収入を見てみましょう。令和3年の農林水産統計によると、農業経営体全体の粗収益は平均で1,076.9万円となっています。この数字は、売上全体を表しており、農作物の販売や補助金など、農家が得たすべての収入を含んでいます。

農家の夫婦

しかし、農作物を生産するためにかかる経費を考慮すると、実際の手取り収入は大きく異なります。経営費にあたる農業経営費は平均で951.5万円。これを粗収益から差し引いた実質的な農業所得は平均で125.4万円となります。

ただし、これらの数字は全ての農業経営体を一律にカバーしているため、専業農家と兼業農家、大規模農家と小規模農家など、農業の規模や形態によって収入は大きく異なります。

3. 稼げる農家の年収

一般的な農家の平均年収は125万円といわれていますが、稼げる農家はどれくらいの年収を得ているのでしょうか。その答えは、「農業をどこで、どのように行うか」に大きく依存します。具体的な例として、北海道の農業収入を見てみましょう。

ホクレン農業協同組合連合会によると、平成27年度の北海道の1経営体あたりの農業所得は、種類によって大きく異なります。水田農業では平均601万円、畑作では1,174万円、酪農ではなんと1,613万円となっています。

さらに、付加価値の高い農産物を生産することによって、所得を大きく増やすことも可能です。例えば、高級レストラン向けの特別な野菜を少量生産したり、特殊な製法で糖度の高いトマトを生産し、高単価で販売することもできます。

また、インターネットを通じて生産者と消費者が直接つながるサービスも増えており、販売戦略によって農業を儲かる仕事にする可能性が高まっています。

4. 高収益を得るためには?

農業を行う場所や経営方針だけでなく、具体的な稼ぎ方も重要な要素です。以下に、農業で高収入を得るための戦略を具体的に記してみます。

  1. 一般的な野菜や果物よりも、特別な品種や有機物、ブランド作物など、付加価値の高い製品を生産することで、より高い価格で販売することが可能です。
  2. 個人経営のレストランや特定の顧客と直接契約を結び、その顧客のニーズに応じた特別な農産物を生産することで、高い収益を得ることができます。
  3. 近年はインターネットを通じて生産者と消費者が直接つながるサービスが増えています。これにより、中間業者を介さずに農産物を消費者に直接販売し、より高い利益を得ることが可能になりました。
新規就農者

これらの戦略は、一部の農家が実践して成功している例です。個々の農家にとって最適な戦略は、その地域の条件、農家の能力や資源、そして市場の需要によります。

5. まとめ

この記事では新たなキャリアとして農業を考えている人に向けて、農家の年収について詳しく説明しました。一般的な農家の平均年収は125.4万円ですが、実際の収入は農業の規模や形態により大きく異なります。北海道の一部の農家では、特定の農産物の生産に特化することで年収が大幅に増加しています。例えば、水田農業では平均601万円、畑作では1,174万円、酪農ではなんと1,613万円の年収を得ています。また、特殊な製法で高級野菜を生産したり、インターネットを利用した直販戦略を用いることで、より高い利益を得ることが可能です。成功するためには、地域の条件、農家の能力や資源、市場の需要を考慮した戦略が必要となります。

この記事の監修者
田中和男
田中 和男
卒業後、地元のJAに就職し30年以上農機センターで勤務。 定年退職後、自ら中古農機事業を立ち上げて地元を中心に販売・買取やレンタルを行う。 農業機械1級整備士の資格あり。 自らも兼業農家として実家の農業を50年近くやっています。