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海外旅行に行くと、フランスやイタリアをはじめとしたヨーロッパなどに見られる、都市と農村の境界が明確に区分けされた美しい農村の風景が保たれていることに驚きます。
一方、日本の都市は計画的な開発が行われておらず、建物も統一感を失い、農地と住宅が混在するエリアが多く見受けられると共に、都市内の農地は年々減少しています。
そんな現代日本において、都市部での農業、通称「都市農業」が都市の中心やその周辺で展開され始めており、熱い注目を集めております。
都市農業が持つ多面的な価値を最大限に活かし、都市と農業が共存する持続可能な未来を築くためには、法制度、地域社会、そして農業従事者自身がどのような役割を果たすべきか、その方向性をしっかりと考える必要があります。
また都市農業の計画とその実現方法は、多くの要素を考慮しながら地域の人々の理解の上に進める必要があります。
そこには様々な困難が待ち構えていますが、計画的なアプローチとその実現方法をしっかりと掴むことで、都市農業は都市の新しい魅力として、多くの人々の生活を豊かにすることができるのです。
今回はそんな未来につながる都市農業について考察してみたいと思います。
都市農業の成長と未来の農地の変遷
都市の発展は、多くの場合、地方からの人口流入という形で進行してきました。
特に東京を中心とした首都圏は、高度経済成長の時代から急速に増えてきた結果、都市の中心部では土地の価値が上昇し、無秩序な市街地の拡大を招き、多くの自然や農地が住宅地やビルに変わってきており、国のデータによれば、過去数十年で都市部の建物用地は倍増しています。
首都圏の発展は、確かに経済的な豊かさをもたらしてきましたが、その一方で自然や農地が失われてきたことは否定できません。
1.昭和43(1968)年「新都市計画法」制定で都市の成長と拡大を管理
そんな中、秩序をもった宅地開発需要等に対応していくために、昭和43年に制定された「新都市計画法」は、都市の急激な拡大と人口集中に対応するための重要な法律です。
この法律に基づく「市街化区域」は、10年以内に計画的に市街化を進めるべきエリアとされ、「市街化調整区域」は、事前に届け出を行うことで、市街化を抑制すべき区域として定められ流というものです。
この法律の主眼は、都市の成長と拡大を管理するためのものであり、その一方で農地が犠牲にならないよう考慮されています。
しかし、この法律によって、都市と農地が共存する形態の、無秩序な都市計画が行われることになりました。
2.昭和44(1969)年「農業振興地域法」制定で都市部でも農業が持続可能に
続いて、昭和44年に制定された農業振興地域の整備に関する法律は、優良な農地を保全し、無秩序な農地の廃棄を防ぐ目的で作られました。
この法律に基づく農用地区域は、農業用途が優先されるエリアとされ、この区域内での農地の転用は基本的に許可されません。
この法律によって、都市部でも農業が持続可能な形で行われるようになり、都市農業の保護と振興に大いに貢献しています。
3.平成27(2015)年「都市農業振興法」制定でその価値を評価
平成27年に「都市農業振興法」が施行されると、都市農業に対する見方が大きく変わりました。
都市農業は、単なる「許容される存在」から「生活に必要な存在」としての位置づけが強まり、政府も都市内の農地が持つ多面的な機能に注目し、その価値を評価するようになりました。
この法律は、都市農業の多様な機能を適切に発揮させ、有効な活用と保全を図ることを基本理念としていて、市街地形成において農業との共存を促進し、国民の理解のもとで施策を推進することが求められております。
また政府には、法制度、財政、税制、金融などの面で必要な措置を講じる責任を明確にし、機能の発揮を促しています。
具体的には、農産物の供給、防災、景観形成、環境保全、農業体験・学習の場の提供などが含まれます。
高齢化社会で都市農業が果たす未来の役割
やがて日本は高齢者が増加する社会が訪れます。
そんな中、都市農業が果たすべき役割はさらに重要になると言われています。
例えば、高齢者が参加できるコミュニティ農園の設置や、都市農業を通じた健康増進などのスキームが考えられ、また労働力が減少する中で、都市農業の効率化や自動化が進む可能性もあります。
さらに、都市農業が地域社会や経済に与える多面的な影響を最大限に活かすためには、政府や地方自治体、産業界、そして市民が一体となって取り組む必要があり、少ない労働力でも高い生産性を維持することが可能になるかもしれません。
1.都市人口の減少「2040年問題」
未来の予測では、2025年から2040年の15年間で現役人口(20歳~64歳)が約1,000万人減少するとされています。
いわゆる「2040年問題」ですが、この速度は、1995年から2020年までの減少スピードよりも早く、2040年頃には都市の人口が減少し始め、多くの空き家や未利用の土地が出現するとされています。
この変化は、都市の風景や機能に大きな影響を与えることが予想されます。
2.未知の超高齢化社会へ「2054年問題」
さらに「2054年問題」という、生産年齢人口が減少する一方で、75歳以上の高齢者人口が2054年まで増加し続けるという問題が横たわっています。
具体的には、2054年には全人口の約25%が75歳以上となると推計されています。これは、国民4人に1人が高齢者となるという、人類史上未知の「超々高齢化社会」への突入を意味します。
都市農業の進化と未来の農業振興のための政策
過去の都市開発の流れを見ると、「都市内の農地」は住宅やビルの建設用地として利用されることが一般的で、開発が優先されてきた都市の中で農地は「存在すべきもの」とは考えられておらず、都市において田園風景は姿を消していきました。
しかし、近年の国の政策は大きく変わりました。
1.平成28(2016)年「都市農業振興基本計画」が閣議決定!
近年では食の安全への意識の高まりや防災意識の向上、都市住民のライフスタイルの変化などによって、都市農業に対する評価が高まってきました。
平成28(2016)年に「都市農業振興基本計画」が閣議決定され、都市内の農地を「存在すべきもの」と位置づける方針が打ち出されたことで、都市部での農業の継続や、新しい農業経営の取り組みが推進されるようになりました。
都市農業は、少量多品目の作付けや都市住民への直接販売など、収益性の高い農業経営が可能です。
これは、食の安全に対する信頼や、都市と農業の新たな関係性を築く上で非常に重要であるため、農業政策上でも、都市農業に対する主要な農業振興施策の支援が必要とされています。
2.平成29(2017)年「特定生産緑地制度」制定で利益を上げる農業へ
具体的には、都市部の「生産緑地」においても、収益を上げるための施設の建設が許可されるようになったり、農業に従事する人々に農地を貸し出す制度が整備されるなど、多くの変革が進められています。
また、平成29(2017)年には生産緑地の指定期間も、税制上の優遇措置を受けることで、10年延長することが可能となる「特定生産緑地制度」が新たに導入されました。
この制度を積極的に活用することで、持続可能な都市経営や都市住民の豊かな生活環境の保全・創出が可能となります。
しかし、これらの制度や法律は非常に複雑で、実際の利用には多くの課題があると言われています。
そんな中、都市農業方は異なる多くの特色や魅力を持っており、注目は日に日に高まりを見せており、その魅力に吸い寄せられるように集まる流れができつつあります。
都市農業の6つの魅力と未来の展望
都市農業と聞くと、ビルの谷間やアスファルトの道路に緑が広がるイメージを持つかもしれません。
しかし、都市農業の魅力はそれだけではありません。
都市農業は、都市生活者に新鮮な食材を提供するだけでなく、都市の環境や生活を豊かにする多くの要素を持っています
1.美味しく健康的な作物の「新鮮さ」が魅力
野菜の味の決め手は、栽培のタイミング、選ばれた品種、そして鮮度の三つの要素にあると言われていますが、都市の中心で収穫された野菜や果物は、運搬の時間がほとんどないため、収穫後すぐに消費者の手に渡る農作物の最大の魅力は、その新鮮さにあります。
都市農園で収穫されたばかりの野菜や果物は、その鮮度や味わいが格別で、その味や香りが非常に濃厚で、一度食べたら忘れられない美味しさがあります。
また、都市農業は短いサプライチェーンを持つため、栄養価が高いままの食材を手軽に手に入れることができるだけでなく、食材の安全性や透明性も高まるのが魅力です。
2.究極のエコシステム「環境保護」が魅力
都市農業により、都市の中心部に緑が増えることで、都市のヒートアイランド現象の緩和や空気の浄化が期待されます。
また、都市農業は水やエネルギーの効率的な利用を促進するため、都市の持続可能性にも寄与します。
そしてアスファルトに囲まれた都会の中に農地があるということは、そこに住む人々に精神的な安定をもたらすことも期待されています。
3.つながる力「コミュニティ形成」が魅力
都市の中心での農業活動は、地域住民やビジネスオーナー、学生など、さまざまな人々を巻き込むことができます。
都市の中での農業の可能性や価値を最大限に引き出すことで、農業の現場に人を集めやすく、様々な形態やスタイルの農業をイベントとして実施することができるので、新しい食文化やライフスタイルを提案することができます。
これにより、都市内でのコミュニティの絆が深まり、新しい交流や協力の場が生まれることが期待されます。
4.農から学ぶ「教育の場」が魅力
都市生活者、特に子供たちは、食材がどこから来ているのか?食材がどのようにして生産されるのか?といった自然との関わり方を学ぶ絶好の機会となります。
都市農業を通じて、食の起源や生産者の努力を知ることで、食の大切さや自然との共生の重要性を学ぶことができ、食に対する感謝や理解を深めることができます。
5.可能性は無限大「ビジネスモデルの創出」が魅力
都市農業は、地域の農家や事業者との連携を深めることで、新しいビジネスモデルやコミュニティの形成を促進します。
これにより、都市の中での農業の価値が高まり、地域の経済や文化にも貢献することができるので、都市農業を取り入れた新しいビジネスモデルやイノベーションも生まれることが期待されます。
6.都会の地産地消で「経済活性化」が魅力
都市農業により生産された食材は、地域のレストランやカフェ、市場などで販売されることで、地域経済の活性化に寄与します。
都市農業の未来と「自然資本」の価値を証明する研究
都市の発展とともに、多くの都市がコンパクト化と郊外開発の矛盾、中心市街地の大規模再開発、そして公的資金の適切な投入などが求められる中、環境問題や持続可能性などさまざまな課題が浮き彫りになってきました。
そんな中注目されているのが欧米の都市で見られる「自然資本」の概念です。
都市の中心部に位置する公園や緑地は、都市の経済的価値を高める要素として再評価されており、これは都市の経済活動を最優先する従来の考え方とは異なる新しい視点です。
高層ビルやアスファルトの街路に囲まれることが増えてきた都会の住人にとって「自然」への渇望が常に存在しています。
その意味からも都市農業の価値を考察することができます。
1.広島大学田中貴宏教授の研究:都市には自然が必要?
都市・建築計画学研究室において、都市や地域あるいは建築空間で生じる色んな現象のメカニズムを解明する研究を進めている広島大学の田中貴宏教授の研究によれば、都市部での自然の豊かさは、人々の精神的健康に良い影響をもたらしていることが示されており、都市部でも公園や緑地が多い地域に住む人々は、精神的に健康であることが多いという。
また、都市の人口密度が高まると、人々は植物や花を購入する傾向が強まることが分かっています。
これは、都市の中での自然の欠如を補うための行動とも言えるでしょう。
2. JA全中と順天堂大学の共同研究:農作業と人の幸福度
さらに、農作業を行うことで、ストレスを感じるホルモンの分泌が減少し、幸福を感じるホルモンの分泌が増加することが、JA全中(一般社団法人 全国農業協同組合中央会)と順天堂大学の共同研究によって明らかにされています。
これは、都市生活者が週末農業や都市農業に興味を持つ理由の一つかもしれません
都市農業は渋沢栄一も学んだ「田園都市」の未来形
都市と農村の関係は、近年のトピックではなく、歴史を紐解くと、都市と農村は密接に関わり合ってきました。
その代表的な例としてエベネザー・ハワードが提唱した「田園都市」(Garden City)の概念があります。
これは、20世紀の都市計画において非常に影響力がありました。
この概念は、都市の過密問題に対処するため、都市と農村の良い点を組み合わせて新しい形の都市を作るというものです。
このアイデアは、世界中の都市政策に影響を与え、特に大都市の近郊や新しい町(ニュータウン)の設計に貢献しました。
さらに、この概念は大ロンドン計画や日本の首都圏基本計画など、後の大都市圏政策にも引き継がれています。
この田園都市の構想が注目を集めたイギリスの社会的な背景について解説したいと思います。
1.産業革命時代の都市と農村
イギリスの産業革命時代、都市は急速に発展しました。
しかし、その発展の裏には、高い家賃、長時間の通勤、生活環境の悪化など、都市生活者は多くの課題に直面していました。
一方、農村では、美しい自然が広がっているものの、低賃金や長時間労働などの問題がありました。
ハワードは、これらの都市と農村の問題を解決するための新しい都市モデル、田園都市を提案しました。
2.田園都市のコンセプト
田園都市は、都市と農村の良い点を組み合わせた都市モデルです。
都市の経済的な利便性と農村の豊かな自然を併せ持つことを目指しています。
具体的には、地代を住民が支払い、都市を維持することや、都市の設計を効率的に行い、廃棄物を農業に活用するなどの提案がされています。
3.現代における田園都市の意義
ハワードの田園都市のアイデアは、現代にも多くの示唆を与えています。
都市の公共施設や組織づくり、文化や景観の重要性など、多くの要素が現代の都市経営にも関連しています。
また、ハワードのアイデアは実際に実現され、レッチワースやウェリンなどの田園都市が誕生しました。
日本でも、渋沢栄一が影響を受けて、多摩田園都市などの開発が行われました。
新たな都市農業の未来①東京都国立市と埼玉県草加市の挑戦
都市農業の未来は、多くの人々が協力し合い、多様な地域資源を繋ぎ合わせることで、より豊かで持続可能なものになると言われています。
日本の首都圏でも都市農業に活路を見出そうとしている地域があります。
中でも東京都国立市と埼玉県草加市の取り組みはとてもユニークで大きな成果を上げています。
1.都市と農業の融合を見せた国立市のNPO
東京都国立市に位置する「NPO法人くにたち農園の会」と「株式会社 農天気」は、都市と農業の新しい結びつきを模索しています。
彼らのコンセプト「農の未来をもっと面白く」のもと、都市農業の6つの価値「食・結・学・癒・遊・美」を融合させた新しい田園都市を展開しています。
2.多岐にわたる取り組み
彼らの活動は多岐にわたります。
地域の親子を対象とした子育て支援、大学生が主導する農泊体験、そしてこれらを組み合わせた体験型観光など、農業を中心としたコミュニティ活動が行われています。
3.特筆すべきポイント
○収益の最大化:収穫直後の野菜は最も新鮮で価値が高い。この特性を利用し、畑でのイベントや子育て支援など、多様なサービスを提供しています。
○地域との連携:地域の住民や大学生との協力を通じて、畑や住宅などの地域資源を最大限に活用しています。
○未来志向の経営:近接する生活の要素や多文化共生、地域事業の推進など、日本の将来的な課題に取り組んでいます。
4.国立市の可能性
国立市は、ドイツの学園都市ゲッティンゲンを参考にした美しい景観を持っています。
この土地のポテンシャルをさらに引き出すための取り組みが、小野さんを中心に進められています。
新たな都市農業の未来②埼玉県草加市の挑戦
埼玉県草加市は、近年、都市の中での農業の可能性を追求しています。
特に注目すべきは、市が推進するリノベーションまちづくりの中に「農」の要素を取り入れている点です。
これは他の都市では見られない独自のアプローチであり、都市と農業の新しい関係性を示しています。
1.都市農業の新しい方向性
草加市のリノベーションまちづくりは、都市計画や商業振興だけでなく、農業の振興も視野に入れています。
これにより、都市の中での農業の価値を再認識し、新しいコミュニティの形成を目指しています。
2.地域と農業の新しい関係
草加市氷川町のレストランChavi Peltoは、国のオーガニックレストラン認証を取得しており、惣菜やお弁当で使用する地場農産物は隣接するオーガニック認証の畑で収穫した採れたて野菜を使用しており、都市部での新鮮な野菜の提供を実現しています。
これにより、都市の中での農業の価値が高まり、地域の飲食店や新しいビジネスにも影響を与えています。
3.地域コミュニティの強化
草加市の取り組みは、地域住民や事業者、行政との連携を深めることで、強固なコミュニティを形成しています。
これにより、都市の中での農業の可能性を最大限に引き出し、新しいまちづくりの方向性を示しています。
成功する都市農業・5つの未来計画ポイント
都市農業を成功させるためには、農業に対する計画的なアプローチとその手順が不可欠です。
都市の特性や制約を考慮しながら、持続可能で効果的な都市農業を展開するためのポイントを探っていきましょう。
成功する都市農業を実現するための計画と、具体的な方法について紹介します。
1.「目的の明確化」
まず、都市農業の計画を立てる際の最初のステップは「目的の明確化」です。
都市農業を始める目的は、新鮮な食材の提供、環境改善、地域コミュニティの活性化など、さまざまですが、この目的に合わせて、適切な場所の選定や生産物の選択を行うことが重要です。
2.「場所の選定」
次に、「場所の選定」が鍵となります。
都市の中心部での農業は、土地の制約や環境問題が考慮される必要があります。
屋上や空き地、廃墟となった建物など、都市のさまざまな場所を活用することで、効果的な都市農業を実現することができます。
3.「技術の導入」
さらに、都市農業の計画には「技術の導入」も欠かせません。
最新の農業技術や設備を取り入れることで、限られたスペースや資源の中でも高い生産性を持つ都市農業を実現することができます。
例えば、水耕栽培やLEDを使用した植物育成技術などが挙げられます。
4.「資金調達」
また、「資金調達」は都市農業の計画を実現する上での大きな課題となります。
都市農業のプロジェクトを立ち上げるためには、初期投資や運営資金が必要です。クラウドファンディングや地域の支援、企業との連携など、さまざまな資金調達の方法を探ることが求められます。
5.「地域との連携」
都市農業の計画を実現するためには「地域との連携」が不可欠です。
都市農業は、地域住民や行政、企業など、さまざまなステークホルダーとの協力を必要とします。
地域との連携を深めることで、都市農業の計画をスムーズに進めることができます。
都市農業の未来予想・5つの進化形
都市農業は、現代の都市環境において多くの魅力を持っていますが、未来に向けての進化も止まっていません。
技術の進化や社会の変化に伴い、都市農業はさらなる可能性を秘めています。
実際にどのような農業への展開が予想されるか探っていきたいと思います。
1.「スマート農業」が実現
センサーやAI技術を活用することで、都市農業はより効率的かつ持続可能な生産を実現することができます。
例えば、センサーを使用して土壌の湿度や温度を常時監視し、最適な水や肥料の供給を自動で行うことが可能となります。
2.「垂直農業」の形での発展
都市の土地は限られているため、上に向かって農地を広げる垂直農業は、効率的な土地利用を実現します。
ビルの中や屋上での農業は、太陽光をLEDで補完することで、一年中安定した生産が可能となります。
3.「クローズドループシステム」で持続可能性
このシステムは、農業の生産過程で発生する廃棄物を再利用し、循環型の生産を実現します。
例えば、魚の養殖と野菜の栽培を組み合わせたアクアポニクスは、魚の排泄物を野菜の肥料として利用することで、水や肥料の無駄を減らすことができます。
4.「地域との連携」を深める
新しい価値を生み出すことが期待されます。
都市農業を通じて、地域住民や学校、企業との協力を進めることで、都市のコミュニティをより強固にすることができます。
5.「持続可能性の研究」の場としての役割
都市農業の実践を通じて、新しい農業技術や持続可能な生産方法に関する研究が進められることで、都市農業の未来をさらに明るくすることができます。
都市農業の未来・まとめ
都市農業の計画とその実現方法は、多くの要素を考慮しながら進める必要があります。
しかし、そこには単に新鮮な作物を都会の住人に供給するだけではなく、人々の心に潤いを与え、地域のコミュニティの形成や高齢者の健康にも寄与し、地域経済の活性化にも重要な拠点になりうる可能性が浮かび上がってきました。
それらを実現するために必要な計画的なアプローチとその実現方法をしっかりと掴むことで、都市農業は都市の新しい魅力を創出する場として、多くの人々の支持を得ることができるはずです。
都市農業を中心にコミュニティが広がり、ひいてはそこから経済的な流れも構築され、人々の生活を金銭的にも豊かにすることができるでしょう。
- この記事の監修者