農業新規参入!脱サラ農業への道のり

農業新規参入!脱サラ農業への道のり

2023.05.30
目次
  1. 脱サラ農業への一歩
  2. 脱サラ農業のリアル
  3. 脱サラ農業への道のり
  4. 農業の基本とテクニック
  5. 脱サラ農業を支える経済的側面
  6. 農業ライフスタイル
  7. 脱サラ農業の事例紹介
  8. 脱サラ農業と社会・環境

1. 脱サラ農業への一歩

なぜ今、脱サラ農業が注目されているのか?

現代社会において、都市部で働く人々の中には、ストレスやワークライフバランスの課題を抱える方々が増えています。そのような中で、自然と触れ合いながら暮らす農業の魅力が再評価されています。脱サラして就農すること(=脱サラ農業)は、ストレスから解放され、自分の手で食べ物を作り、自然と共に生活することができる新たな選択肢として注目されています。

ストレスを感じるサラリーマンたち

脱サラ農業の現状~新規就農者の数とその背景

近年、脱サラ農業に挑戦する新規就農者の数が増加しています。これには、政府や地方自治体の支援策が一因となっています。補助金や助成金の活用、農業研修の提供、土地の貸与などの支援策が用意されており、新規就農者の増加につながっています。

農業という選択~どのような人々が脱サラ農業に挑むのか

脱サラ農業に挑む人々は、様々な背景を持った人々です。例えば、都市部で長年働いたが農業への憧れを抱いていた人々や、家族と共に自然に囲まれた環境で子育てをしたいと考える若い世代などが挑戦しています。また、農業の技術や知識を持っていない初心者でも、熱意や学ぶ意欲があれば取り組むことができます。

2. 脱サラ農業のリアル

農業のメリットとデメリット

脱サラ農業には、さまざまなメリットがあります。自然と触れ合いながら働くことで、ストレス解消やリフレッシュ効果が期待できます。また、自分の手で作物を育て、収穫する喜びや食べ物の安全性への関心を満たすことができます。

一方で、デメリットもあります。農業は季節や天候に左右されるため、収入の安定性や労働の厳しさが課題となることがあります。

農業収入と種類別年収の現実

農業における収入は、種類や経営規模によって異なります。例えば、果樹や畜産などの特定の分野では、高い収入を得ることができる場合もあります。また、地域や需要に応じたマーケティング戦略を展開することで、収入を増やすことができるでしょう。しかし、農業の収入は必ずしも安定しておらず、努力や経営スキルの向上が求められます。

農業収入のイメージ

マイナビ農業のページを参考にまとめると、

令和3年の農林水産統計によると、農業経営体全体の粗収益は平均で1,076.9万円でした。ただし、実際に手元に残る所得(経費を引いた後の収入)は平均で125.4万円でした。これは、粗収益から農業経営費(農具や肥料などの購入費用)を差し引いた結果です。

儲かる農家の収入は、一般的な農家のそれとは大きく異なる場合があります。たとえば、北海道の農業経営体は全国の平均値と比べて大きな所得を得ています。具体的には、水田、畑作、酪農の農業所得はそれぞれ390万円、788万円、1,429万円です。

また、収益性の高い作物を選択することも重要です。少ない面積でも高付加価値の農産物を生産すれば、高所得が見込めます。例えば、個人経営のレストランと直接契約を結び、求められる野菜を多品種少量生産する、あるいは特殊な製法で糖度の高いトマトを生産して高単価で販売するなどの方法があります。

自営農家と雇用就農者では年収が異なります。自営農家は農家であり経営者でもあり、農業所得は平均で433.5万円でした。これは、令和3年の給与所得者の平均給与443万円と比較すると、会社員と同程度の収入を得ることが可能です。一方、法人などに雇用されて農業を営む雇用就農者の年収は平均で約344万円で、自営農家の農業所得と比べて90万円もの差額があります。

脱サラ農業で後悔しないために知っておくべきこと

農業に挑戦する前に、後悔を避けるために知っておくべきポイントがあります。まず、自分の適性や意欲を確認し、農業への情熱が持続するか考えることが重要です。また、事前の準備や勉強を怠らず、農業の基本知識や技術を身につけることも大切です。さらに、リスクを想定し、適切な経営計画や財務管理を行うことで、後悔を防ぐことができます。

3. 脱サラ農業への道のり

農業を始める前の準備と必要知識

農業を始める前に、十分な準備と必要な知識の習得が必要です。まずは、基本的な知識を身につけることから始めましょう。農作物の育て方や畜産の基礎知識、土壌管理や農業機械の使い方など、農業に必要なスキルやテクニックを学ぶことが重要です。また、地域の気候や土壌条件に合わせた栽培方法を学ぶことも大切です。

準備段階では、経営計画の作成や事業計画書の作成が必要です。これには、資金の調達方法や土地の確保、必要な機材や施設の導入計画などを含めることが重要です。また、地域の農業関連団体や専門機関からのサポートを受けることもおすすめです。

事業計画書

農業体験~実践に挑む前の一歩

脱サラする前に、農業体験を行うことをおすすめします。実際の農場で農作業を体験し、農業の現場の雰囲気や労働環境を体感することができます。また、農機具・農業機械の使い方などの農業技術や作業手順を学ぶ機会としても活用できます。

農業体験を通じて、農業のリアルな一面や自身の適性を確かめることができます。また、農業関係者との交流や情報収集の場としても役立ちます。体験を通じて得た知識や経験は、実際に脱サラ農業に取り組む際に役立つでしょう。

脱サラ農業の成功を叶えるためのポイント

脱サラ農業を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。まずは、継続的な学びと成長の姿勢を持つことが重要です。農業は常に変化する環境で行われるため、最新の技術や知識を積極的に取り入れることが必要です。

また、マーケットや消費者のニーズに合わせた生産計画や販売戦略を立てることも重要です。市場調査や需要予測を行い、自身の農産物やサービスの競争力を高める努力をしましょう。さらに、地域の農業関係者やコミュニティとの協力やネットワーキングも成功に欠かせません。成功例を参考にしながら、自身の経験と情熱を活かし、脱サラ農業の道を歩んでいきましょう。

4. 農業の基本とテクニック

農業に必要な知識とスキル

脱サラ農業を成功させるためには、農業に関する基本的な知識とスキルが必要です。例えば、作物の栽培技術、土壌管理、害虫・病気の防除方法などの農業の基本知識を身につけることが重要です。また、農機具・機械の使い方や農業経営の基礎知識も必要です。

さらに、農業には計画性や組織力、問題解決能力なども求められます。農業経営は季節や天候に左右されるため、リスク管理や適切な計画立案が必要です。また、労働力や資金の管理、マーケティング戦略の立案なども重要なスキルとなります。

農業に役立つ具体的な技術・ノウハウ紹介

農業にはさまざまな技術やノウハウが存在します。例えば、作物の育成においては、適切な種子の選定や種まき、栄養管理、水やりの方法などが重要です。また、害虫や病気の防除には、生物農薬の活用や適切な防除タイミングの把握が必要です。

さらに、効率的な農業経営を目指すためには、農機具・農業機械の選定と適切な使い方、労働力の管理や作業の効率化なども重要な要素です。これらの具体的な技術やノウハウを学び、実践することで、生産性や品質の向上を図ることができます。

農業でよく出会う問題と対処法

農業経営にはさまざまな問題が発生することがあります。例えば、天候の影響による作物の被害や収量の減少、害虫や病気の発生、市場価格の変動などが挙げられます。これらの問題に対処するためには、適切な対策を立てることが重要です。

対策としては、農業保険の活用やリスク分散のための作物の多様化、病害虫の監視と早期発見、マーケットの変動に対応する販路の多角化などが考えられます。また、地域の農業関係者や専門家との情報交換や協力も有効です。問題解決のための柔軟な思考と対応力を身につけることが、農業経営の成功につながります。

5. 脱サラ農業を支える経済的側面

資金繰りと初期投資

農業を始めるためには、一定の資金が必要です。初期投資として、土地の購入やリース、農機具や施設の導入、作物の種子や肥料などの購入費用がかかります。また、生活費や経営資金も考慮する必要があります。

資金を調達する方法としては、自己資金の投入、銀行からの融資、補助金や助成金の活用などがあります。農業関連の支援制度や地域の農業団体のサポートを受けることも有益です。資金繰りを計画的に行い、収入の安定化に向けた努力をすることが重要です。

農業での収入と経費の実態

農業の収入は、作物の種類や品質、生産量、市場価格などによって大きく異なります。一部の特定の作物や高品質な農産物では高収入を得ることができる一方で、価格変動や市場需要の変動によるリスクもあります。

また、農業経営にはさまざまな経費も発生します。例えば、種子や苗、肥料、農薬、水道光熱費などの生産コストや、労働力の給与、農機具・農業機械の維持費、施設の維持費などがあります。これらの経費を正確に把握し、収入とのバランスを考えながら経営を行う必要があります。

補助金・助成金の活用方法

補助金や助成金などの公的支援策の活用も重要です。農業関連の補助金や助成金は、農業者の経営支援や農業環境の保全・改善を目的として提供されています。

補助金

これらの支援策には、農地の整備や施設の導入、農業生産の多様化や品質向上に向けた取り組み、農業者の教育・研修などが含まれます。農業関連の行政機関や地域の農業団体などから情報を収集し、自身の農業経営に適した支援策を活用することが大切です。

販路の開拓とマーケティング

脱サラ農業を成功させるためには、販路の開拓とマーケティングの重要性を認識する必要があります。農産物の需要や市場動向を把握し、自身の農産物がどのような顧客に求められているのかを分析しましょう。

マーケティング戦略としては、直売所や農産物直売所、地元の飲食店やスーパーマーケットとの提携、オンラインショップやSNSを活用した販売など、多様な手段を考えることが重要です。また、ブランド化や付加価値の創造など、差別化を図る取り組みも有益です。

6. 農業ライフスタイル

農業と生活のバランス

脱サラして就農することで、生活スタイルが大きく変わることになります。農業は季節や天候に左右されるため、労働時間や休暇の取り方が従来の仕事とは異なる場合があります。農業と生活のバランスを取るためには、自身の生活スタイルや価値観を考慮しながら、計画的なスケジュール管理や労働力の適正配置を行うことが重要です。

また、農業は身体的な労働を伴うため、健康管理や体力づくりも大切です。定期的な健康チェックや適切な栄養摂取、適度な運動を心掛けましょう。農業は自然と触れ合う仕事でもありますので、自然のリズムを感じながら、心身の健康を保つことができるでしょう。

農業でのライフハック

農業を行う上で、効率的な作業や時間管理が求められます。ライフハックを取り入れることで、作業効率を上げることができます。例えば、作業の計画と優先順位の設定、作業場所の整理整頓、農機具や農業機械のメンテナンスの徹底などがあります。

また、農業においては情報収集や学びの継続も重要です。農業関連のセミナーや研修会への参加、農業関連の書籍やウェブサイトの情報の活用など、自己啓発に努めましょう。新しい技術や知識の習得によって、より効率的な農業経営を実現することができます。

農業を楽しむためのヒント

農業は自然との触れ合いや季節の移り変わりを感じることができる魅力的な仕事です。農業を楽しみながら続けていくためには、自身の興味や関心に合った作物や業態を選ぶことが重要です。自分の好きな作物を育てることで、仕事へのモチベーションを高めることができます。

また、地域の農業関係者や農業愛好家との交流や情報共有も楽しみの一つです。地域の農業イベントや交流会に参加したり、オンラインコミュニティに参加することで、刺激を受けながら楽しい農業ライフを送ることができます。

以上の情報を参考に、農業をより充実したライフスタイルとして楽しんでいきましょう。

7. 脱サラ農業の事例紹介

成功例

Aさんは都会でサラリーマンとして働いていたが、自然との触れ合いや食べ物の大切さに興味を持ち、脱サラ農業に挑戦することを決意しました。彼は農業研修を受けた後、自身の農園を所有するための資金を貯めるために副業にも励みました。
資金を貯めると同時に、地元の農家とのつながりを築き、アドバイスを受けながら農業のスキルを磨いていきました。彼はオーガニック野菜の栽培に特化し、高品質な野菜を生産することに成功しました。
地元のスーパーマーケットやレストランとの協力関係を築き、直接販売やレストランへの供給を行うことで、自身の農業ビジネスを拡大していきました。また、地域のイベントや農業体験などにも積極的に参加し、地域とのつながりを深めながら、地域貢献も果たしました。
Aさんの脱サラ農業は順調に成長し、数年後には自身の農園を拡大し、地域で有名なオーガニック野菜の生産者となりました。彼の成功は、情熱と努力、地域との連携の重要性を示す素晴らしい例です。

Bさんは40代の脱サラ農業者で、都市部でのストレスからの脱出を求めて農業に転身しました。彼は地元の農家から農業技術の指導を受けながら、果樹栽培に特化することを決めました。
最初の頃は苦労も多く、知識や経験の不足から失敗も経験しましたが、Bさんは諦めずに学び続けました。地域の農業関係者との交流を通じて、販路拡大のためのネットワークを築き、地元の農産物市場や直売所に出荷することに成功しました。
また、彼は地域の農業組織にも参加し、農業イベントの企画や地域振興活動に積極的に関わりました。その結果、地域住民からの支持を得ることができ、地元の果樹農家として認知されるようになりました。
Bさんは独自の果樹栽培技術や販売戦略を確立し、数年後には地域内外で高い評価を受ける果樹農家となりました。彼の成功は、脱サラ農業の可能性と、地域との協力の重要性を示す典型的な事例です。

失敗例

Cさんは都会の忙しいビジネスマン生活からの脱出を夢見て、脱サラ農業に挑戦しました。彼は農業経験がなかったため、農業研修やセミナーを受けることなく、突然農業の世界に飛び込んでしまいました。
最初は熱意と情熱だけで頑張っていましたが、知識や技術の不足から作物の管理や農業経営につまづき始めました。さらに、販路の確保やマーケティングの知識も不足しており、生産した農産物を売り切ることができず、経済的な問題に直面しました。
Cさんは農業の厳しさと自身の不備を痛感し、脱サラ農業からの撤退を余儀なくされました。彼の失敗は、適切な準備や学びの不足、マーケットリサーチの重要性など、脱サラ農業の難しさと挑戦のリスクを示すものです。

Dさんは脱サラ農業に挑戦しましたが、土地や農機具の購入に多額の借金をしてしまいました。彼は農業経営において計画性や財務管理の重要性を見落とし、経済的な苦境に立たされることとなりました。
さらに、農業の労働量や季節的な変動に対する認識が甘く、身体的な負担やストレスに耐えられずに農業を継続することができませんでした。結果として、彼は農業経営を放棄せざるを得なくなりました。
Dさんの失敗は、財務計画の不備や農業経営におけるリスク管理の欠如、労働量との適切な調整の重要性を示しています。

失敗から学ぶ~失敗事例から見る注意点

失敗から学ぶことは非常に重要です。ここでは、先述の失敗事例をもとに、脱サラ農業において注意すべきポイントや失敗を回避するための具体的なアドバイスを紹介します。

注意点1: 適切な準備と学習の重要性
失敗事例から見えてくるのは、適切な準備と学習の欠如が失敗の主な要因であることです。農業経験や農業技術、経営知識の不足は、作物の管理や経営に大きな影響を与えます。離職する前に、農業研修やセミナーに参加し、必要な知識やスキルを身につけることが重要です。
注意点2: マーケットリサーチと販路の確保
失敗事例からわかるのは、販路の確保やマーケティングの重要性です。農産物を生産しても販売ルートが確保できず、売り切れない状況に陥ることがあります。事前に市場の需要や競合状況を調査し、販路を確保することが必要です。地元のスーパーマーケットやレストランとの提携や直接販売の検討など、多角的な販路戦略を立てることが重要です。
注意点3: 財務計画とリスク管理
失敗事例から見えてくるのは、財務計画の不備とリスク管理の重要性です。脱サラ農業は初期投資や経営資金が必要ですが、事前の財務計画が不十分な場合、経済的な苦境に立たされる可能性があります。また、自然災害や病害虫被害などのリスクに対する備えも必要です。リスク管理策や保険の活用など、事前の対策を講じることが重要です。
注意点4: 労働量とライフバランスの調整
失敗事例から学ぶ重要な点は、農業の労働量とライフバランスの調整です。農業は季節や作業内容によって労働量が変動し、体力的な負担が大きいことがあります。適切な労働量の見極めや効率的な作業管理、十分な休息やストレス管理が必要です。自身の体力やライフスタイルとの調和を図ることが重要です。

8. 脱サラ農業と社会・環境

農業とSDGs: サステナビリティへの貢献

農業は、持続可能な開発目標(SDGs)に向けた取り組みとして重要な役割を果たしています。食料の供給源であり、地域の雇用創出や地域経済の活性化にも寄与します。最近では、従来の農業に比べて環境への負荷を低減する取り組みも行われています。例えば、有機農業や自然農法の導入、循環型農業の推進などが挙げられます。

農業がもたらす地域社会への影響

新規就農することによって、地域の農業資源が活用され、地域の景観や自然環境の保全・改善に寄与します。また、地域との協働や連携によって地域の特産品やブランド化の促進、観光資源の開発なども可能となります。さらに、地域の農業関連産業や雇用創出にも貢献します。新規就農者自身が地域の中心的な存在となり、地域コミュニティの活性化や地域経済の発展にも寄与します。

農業の持続可能な未来へ向けて

持続可能な農業への取り組みは、地球環境や人々の生活に大きな影響を与えるものです。就農者は自身の農業経営を通じて、持続可能性の観点を重視し、地球環境と人々の未来を考えることが求められます。

この記事の監修者
田中和男
田中 和男
卒業後、地元のJAに就職し30年以上農機センターで勤務。 定年退職後、自ら中古農機事業を立ち上げて地元を中心に販売・買取やレンタルを行う。 農業機械1級整備士の資格あり。 自らも兼業農家として実家の農業を50年近くやっています。