ブロッコリーは栄養豊富で味も美味しく、年中スーパーで売られているなど、私たちの食生活には欠かせない野菜です。この記事では、ブロッコリーをこれから栽培しようとしている人や、ブロッコリー栽培でトラブルを抱えている人に向けて、正しい栽培方法やよくある注意点などを解説します。ブロッコリー栽培の正しい知識を身につけて、効率よく美味しいブロッコリーを育てましょう。
ブロッコリーの特徴
まずは、ブロッコリーがどんな野菜か説明します。なぜ「ブロッコリー」という名前なのか、どんな栄養が含まれていて、どんな料理に合うのかなど、食べる側の目線を理解することで、育てるモチベーションや考え方に影響するので、消費者の目線を大切にしましょう。
名前の由来
ブロッコリーは、キャベツの変種であり、カリフラワーの仲間でもあります。「ブロッコリー」という名前はイタリア語の「ブロッコ」から来ており、意味は「小枝」や「枝分かれ」です。
栄養素
ブロッコリーには、レモンやジャガイモよりもビタミンCが多く含まれています。さらに、ビタミンAへの変換が期待されるβ-カロテンや、ビタミンB2、カリウム、カルシウムもたっぷり。食物繊維も豊富で、消化促進や便秘解消にも役立つと言われています。
おすすめの調味方法
新鮮なブロッコリーは、鮮やかな緑色で、黄色い花弁が見えないものが最良です。茎もつぼみも美味しく食べることができます。熱湯に塩を加えてゆでる際は、弱火で10分程度が目安です。茎は2~4つに分け、つぼみは好みの大きさに分けてください。また、和風料理にも適しており、青く煮ると、おひたしや辛子和え、椀物の具材としても楽しめます。また、サラダや炒め物、グラタンにもピッタリです。
ブロッコリーの栽培方法
ここからは、ブロッコリーの栽培方法について説明します。育ちやすい環境や時期を理解し、それぞれの工程でどんな作業があるかを把握することで、事前準備や振り返りに生かすことが出来るので、しっかり理解しましょう。
ブロッコリーの育てやすい環境
ブロッコリーは寒さに強く、半日陰でも十分に育つ野菜です。特に、秋から冬にかけての家庭菜園に最適です。生育適温は15~20℃で、日当たりの良い場所が好ましいとされています。また、風通しが良い場所で育てることが病害虫を防ぐためにも重要です。
ブロッコリーの栽培時期
ブロッコリーの栽培時期は主に「春まき」と「夏まき」に分けられ、それぞれ下記のようなスケジュールになります。
月 | 春まき | 夏まき |
---|---|---|
1 | 収穫 | |
2 | 種まき | 収穫 |
3 | ||
4 | 植え付け | |
5 | 収穫 | |
6 | 収穫 | |
7 | 種まき | |
8 | 植え付け | |
9 | 植え付け | |
10 | ||
11 | 収穫 | |
12 | 収穫 |
「注意点」に詳しくは書いていますが、植え付けや種まきを早く行いすぎるとブロッコリーが様々な病気になってしまうので、これらの時期はしっかり守るようにしましょう。また、気温によっても成長速度が異なるので、育てる地域の気候に合わせて多少早く収穫するなど、臨機応変にスケジュールを修正することも重要です。初めて育てる場合には、基本的なスケジュールを守るように心がけましょう。
ブロッコリーの種まき
種まきは気温が安定している時期が最適です。ブロッコリーの種は、不織布などで覆って風通しの良い場所においておきましょう。種をまく深さは約1cm、種と種の間隔は約5cmが理想的です。種まきのコツは、「土の湿度を一定に保つこと」です。湿度を一定に保つためには、ミスト状の水を土に軽く吹きかけることが有効です。
土が乾燥すると、種が発芽しなくなる可能性があるので十分注意しましょう。また、種を植える前に土に十分な水をあげておく事も重要です。植えた後は土の表面にしか水があげられないので、しっかりと土の中に水を含ませておく事で水不足が解消でき、枯れを防ぐことが出来ます。
ブロッコリーの育苗管理
育苗期間中は、十分な水分と肥料を与えることが重要です。また、日当たりの良い場所で管理することで、健康な苗を育てることができます。育苗管理のコツとしては、適度な水やりと、必要な栄養を与えることがあげられます。特に、ブロッコリーは栄養価が高い野菜であるため、肥料の種類と量には注意が必要です。
ブロッコリーの植え付け
ブロッコリーの植え付けには、様々なポイントがあるのでそれぞれについて細かく解説します。
植え付け時の苗の状態確認
ブロッコリーを植え付ける際は、苗が下記のようにしっかりと成長していることを確認しましょう。
- 茎が太い
- 本葉が3つ以上
- 葉に斑点がない
- アブラムシがついていない
- 葉の色が濃い緑
- 根が10cm以上
- 根詰まりしていない
- 根が黄褐色でない
状態の悪い苗を植えてしまうと、どんなに丁寧に育てても元気な蕾が育たず、収穫までに枯れたり、生理障害になってしまうので注意しましょう。
植え付けの方法
ブロッコリーを植え付ける際には、下記を意識するようにしましょう。
- 畝幅を60cm程度(1畝に2列の場合は1m前後)にする
- 間隔を40~50cm程度にする
- 鉢から芽が出ているくらいの高さまで土を被せる
- 植え付けから根付までの間は毎日水やりをする
- 植え付け後2週間ごとに追肥する(30g/1m2)
植え付け時の土
定植のコツとしては、根がしっかりと土に接触するように植えること、そして、根が傷つかないように注意することが挙げられます。また、ブロッコリーの栽培に使用する土は、下記を目安に意識して植え付けの1週間前までに作っておきましょう。
項目 | 量 |
---|---|
酸性度(pH) | 6~6.5 |
苦土石灰 | 100g/m2 |
堆肥 | 牛ふん2kg/m2 |
元肥 | 100g/m2 |
肥料が多すぎると様々な生理障害になるので、肥料は多すぎず正しい量を守って与えるようにすることが重要です。
ブロッコリーの収穫
ブロッコリーは、包丁やナイフなどで茎を斜めに切って収穫します。切り口が太陽の方向に向くようにすることで、切り口によく日光が当たって乾きやすくなり、水溜りによって腐ることを防げます。また、頂花蕾を収穫したあとも肥料を与えて育てることで「わき芽」が育ってきて収穫できるので、長く育てることが出来ます。
わき芽は、小さくて頂花蕾には見劣りするので通常の出荷ルートでは販売出来ませんが、家庭用には「小さくて調理しやすい」というメリットがあるので、直売所で販売したり家庭用として収穫するのがおすすめです。
ブロッコリー栽培の注意点
ここからは、ブロッコリー栽培時によくあるトラブルとその原因・対策について説明します。野菜を育てる際のトラブルはつきものですが、原因や対策を把握しておく事で、未然に防げたりトラブルが発生した時に焦ったり悩んだりすることがなくなるので、しっかり理解しておきましょう。
害虫対策
ブロッコリーには、アオムシやアブラムシなどの害虫がつきやすく、茎や蕾などについてしまうと養分を吸い出してしまうので、寄り付かないように対策する必要があります。害虫の対策としては、下記の方法が有効です。
- 農薬(オルトラン粒剤なら2g/株程度)を使用する
- 防虫ネットをかける
- キク科の植物を近くに植える
ボトニング
ボトニングとは、蕾が小さいままになってしまう生理障害です。これは、株が大きくなる前に蕾が成長し始めることによって起こります。原因は肥料切れや植え付け時期の遅れなどがあるので、下記が対策になります。
- 早まきや早植えをしない
- 肥料をしっかり与える
- 老化した苗を使わない
また、品種として「グランドーム」は低温に鈍感でボトニングに強いとされているので、ボトニングが気になる方はグランドームを栽培するのもおすすめです。
リーフィー(さし葉)
リーフィーは、蕾の中に葉っぱが出てくる症状です。味もえぐくなるので、注意しましょう。原因は、蕾が出てきた時に高温になったり、窒素過多になることです。対策としては、下記を実施しましょう
- 早まきや早植えをしない
- 肥料をやり過ぎない
リーフィーに強い品種は「サマードーム」です。これは、暑さに強い品種なので、近年の高温が続く気候にもおすすめです。
不整形花蕾
不成形花蕾(ふせいけいからい)は、ブロッコリーが変色してしまう現象です。原因は、成長が早過ぎて栄養が追いつかないことによります。そのため、下記に注意しましょう
- 水はけをよくする
- 早まき、早植えしない
- 肥料を一気にあげ過ぎない
- 老化した苗を使わない
プラウンビーズ
プラウンビーズは、蕾が枯れてしまう症状です。原因は高温などの外的ストレスとされています。対策は、
- 環境に強くなる肥料を使う
- 早めに収穫する
プラウンビーズに強いのは、暑さに強い「サマードーム」です。高温な気候でも元気に育つので、暑い地域でブロッコリー栽培する人にもおすすめです。
キャッツアイ
キャッツアイは、蕾が不揃いになる症状です。見た目が少し黄色くなりますが、味には影響がないので家庭菜園などでは気にしなくてもよいものです。この原因は、根の活着不良で、下記が対策になります。
- 早まきや早植えをしない
- 肥料をしっかり与える
空洞症
空洞症は、ブロッコリーの茎に穴が空いて空洞になってしまう症状です。原因は、成長が早過ぎて中身の成長が追いつかないことです。これが起きると腐りやすくなったり、軽くなって収穫量が落ちます。対策としては、下記が挙げられます。
- 肥料をあげすぎない
- 水はけを改善する
変色について
変色はブロッコリーが紫色になってしまう症状です。これは、野菜が低温にさらされたときに「アントシアニン」を分泌して、自分を守るために発生します。これは対策が難しく、「アントシアニンが少ない品種を選ぶ」ことが唯一の対策になります。
まとめ
ブロッコリーの栽培は、適切な時期に栽培方法することや元気な苗を選ぶこと、肥料や水やりをかかさずに行うことが重要です。正しい栽培方法やよくある注意点をしっかり理解して、美味しいブロッコリーを育ててみましょう。
- この記事の監修者