メロンの正しい栽培方法とは?摘心のやり方やトラブル対策を徹底解説!

メロンの正しい栽培方法とは?摘心のやり方やトラブル対策を徹底解説!

2023.09.24
目次
  1. メロンとは?
  2. メロンの栽培方法
  3. よくあるトラブルの原因と対策方法
  4. まとめ

メロンは美味しくて高級感のある魅力的なフルーツとして日本では人気ですが、栽培方法はどうでしょうか。「手間がかかる」や「トラブルが多い」というのはよく聞く話だとは思いますが、その内容や原因・対策については知らない人が多いのではないのでしょうか。

この記事では、メロンの正しい栽培方法について、順を追って工程ごとにポイントを解説しています。さらに、よくあるトラブルの原因と対策をまとめ、トラブルが続かないよう振り返ってもらえるような情報を掲載しています。

これからメロンを栽培したいと考えている人は、よく理解して美味しいメロン栽培ができる準備を整えましょう。

メロンとは?

栽培を始める前に、メロンがどのような植物か知っておきましょう。育てる植物がどのような特徴のものか理解しておくことで、育てる上での基準やモチベーションの維持に繋がるので、まずはメロンに関する基本的な知識について解説します。

実はウリの仲間?

メロンはウリ科の果物で、マクワウリなどと同じ仲間です。ウリ科の他の植物よりも香りが高く、甘味が強いのが特徴です。日本では高級なデザートとして贈り物によく使われますが、海外では生ハムメロンとしてテーブルに並んだり、鴨肉や魚介類に爽やかな甘味を足すのに使われたり、幅広い楽しみ方がある食材としても人気があります。

メロンの栄養価

メロンといえば「高級」というイメージが先行しがちですが、実は栄養価も高く、健康や美容に良いフルーツとしても知られています。メロンがもつ主な栄養価とその効果は下記の通りです。

表1:メロンの栄養価とその効果
栄養素 効果
カリウム 高血圧の予防・筋肉系の怪我リスク軽減
カルシウム 骨密度の向上、虫歯リスク軽減
リン 骨密度を向上、代謝を改善
ナトリウム 体内の水分調整、血圧調整
マグネシウム 代謝を改善、心臓の働きをサポート
鉄分 貧血予防、免疫機能の強化

メロンにはこのように様々な体に良い効果のある栄養素が含まれており、味だけでなく健康への効果としても優秀なフルーツといえます。

メロンの品種

メロンは世界中で多くの品種が栽培されており、「フルーツの王様」とも呼ばれています。メロンの品種は、皮(ネット)と果肉の色で種類が分かれており、主に下記のような品種があります。なお。「ネット系」は皮の表面に白い網目があるもの、

表2:メロンの品種
品種 皮(ネット) 果肉の色 特徴
マスクメロン ネット系 青系 強い香り・濃厚な味わい
アンデスメロン ネット系 青系 果肉がジューシー
プリンスメロン ノーネット系 オレンジ〜黄緑 芳香がある・甘味が強い
ホームランメロン ノーネット系 とろけるような舌触り
マスクメロン
マスクメロン
アンデスメロン
アンデスメロン
プリンスメロン
プリンスメロン
ホームランメロン
ホームランメロン
ホームランメロンの断面
ホームランメロンの断面

贈り物のメロンといえば定番の「マスクメロン」ですが、見た目も綺麗な網目となる「ネット系」のメロンで、栽培が難しいことから高級品として贈り物に使われることが多いようです。マスクメロンと品種としては近しいのが「アンデスメロン」ですが、こちらはマスクメロンほどの強い香りや濃厚な味わいではありませんが、ジューシーな果肉が特徴の品種です。さらに、家庭菜園として人気なのが「プリンスメロン」ですが、こちらはマスクメロンなどとは皮の外観が大きく異なる「ノーネット系」です。網目は見られず、ツルッとした見た目で、果肉も黄緑に近いオレンジです。甘味が強く、育てやすいため家で育てるメロンとして人気です。「ホームランメロン」はプリンスメロンと似たノーネット系のメロンですが、こちらは甘味や香りは劣るものの、皮も果肉も白く、みずみずしいとろけるような舌触りで美味しいメロンです。

この他、全部で50種類以上もの品種のメロンがあり、それぞれ皮や果肉の色、香りや味わいに特徴があります。どの品種を育てるかは、人気やその地域の気候、栽培にかかる手間となどを総合的に考えて検討することが重要です。

メロンの栽培時期

メロンの年間栽培スケジュールを下記に示します。

表3:メロンの栽培スケジュール
作業
3 種まき
4 種まき〜定植
5 定植
6 人工授粉
7 摘心
8 収穫

メロンの生育条件

メロンは寒さに弱く、20~30℃の暖かい気候を好みます。さらに、多湿が苦手で乾燥に強いため、風通しがよく水捌けの良い土壌でよく育ちます。発芽時の適温は25~28℃なので、日中の気温が下がりにくい時期に種まきを行う必要があります。

メロンの栽培方法

メロンを栽培する上で、まずは栽培に関わる各工程での作業手順を把握しておく必要があります。ここからは、栽培の各工程での手順と気をつけるポイントなどを細かく解説します。

種まき・育苗

メロンの種まき・育苗は、下記の手順で行います。

  • 種を水に浸けて一晩放置する
  • ポットに土を入れ、1cmの穴を2,3箇所開けて種を撒く
  • 土をかぶせて表面を軽く抑え、水を与える
  • 生育のいい株を残し、本葉が4,5枚になったら植え付け

家庭菜園などではメロンを苗から育てることが多いですが、種まきから行う場合には、種まきから2週間ほどたって発芽したら、本葉が1,2枚になった頃に生育のいい株以外を除去するようにして強い苗を育てます。発芽させるためには25~28℃の乾燥した暖かい気候が必要なため、温度と風通しを徹底管理しましょう。

土づくり

メロンを畑に植える場合には、2週間前までには土を耕して元肥をいれた土を作っておきましょう。土は、「小粒の赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1」を混ぜて、そこに元肥を足して混ぜましょう。

また、風通しと水捌けをよくするため、メロンの苗を植える土は予め畝を作っておきましょう。畝は高さ10cm・幅70~100cm程度のものとしてください。また、雑草や泥はねから保護するために、マルチやワラを敷いておくのもおすすめです。

定植

苗の定植は、種を巻いてから35日前後で本葉が4,5枚になった頃です。活着するのに18℃以上の地温である必要があるので、気温にかかわらず晴れが続く時に植えるのがおすすめです。また、定植の際は下記のポイントに注意して作業を行いましょう。

  • 植え付けるための穴は定植の直前に作り、内部に水を撒いておく
  • ポット表面をマルチ表面よりも高くしておく
  • 根元は乾かしておく
  • 活着までに1週間弱かかるので、その間は優しく水を与える
  • バケツに予め水をためておくなどして水やり用の水温を上げておく

摘心

植え付けした後、本葉が5,6枚育ったら5枚目で摘み取りましょう。その後、子つるを4本にしてあとは全て摘み取ります。さらに、孫つる10節目までの孫つるは全て摘み取ってください。

なお、子つるの葉が15~16枚になったら先端を摘心し、孫つるの発生を促しましょう。子つる1本に対して果実を2個までにしておくことで、品質のいいメロンの実を育てることができます。

交配

メロンは気候の条件が揃うか、ミツバチがやってこないと自然に授粉することが難しいので、着果させるために人工的に授粉させる必要があります。雄花の花弁を切り取り、雌花の柱頭に擦り付けることで授粉を促します。なお、雄花に比べて雌花は花弁の下が膨らんでいるので区別はつきやすいかと思います。また、メロンの雄花の花粉は切り取ってから長く持たないので、涼しくて乾燥した気候を選び、晴れの日の朝9時までに済ませるようにしましょう。

皿敷き・玉直し

大きくなったメロンの実が地面に触れると、その部分が焼けたりネットの形状が崩れたりして、メロンの品質低下の原因になってしまいます。そのため、大きくする実と地面との間に「皿」と呼ばれるスペーサーやシートを敷く必要があります。この作業を「皿敷き」と言います。また、成長に合わせてその上で何度か玉の向きを調整する「玉直し」を行うことで、実の形を綺麗な球形に整えていきます。

収穫

メロンの収穫は、授粉後40~50日くらいで行います。収穫時期の目安は、以下のような様子が見られた時です。

  • 果実と茎の境目にネットの広がりが出てきた時
  • 果実につながる茎に日々が入った時
  • 果肉近くの葉の緑が薄くなり、香りがするようになった時

よくあるトラブルの原因と対策方法

メロン栽培にはトラブルがつきもので、手間のかかる果物です。トラブルにあった場合は原因と対策方法をしっかりと把握し、次の栽培で同じことを繰り返さないようしっかりと振り返ることが重要です。ここからは、メロンによくあるトラブルについて解説します。

モザイク病

メロンのモザイク病はウイルス感染によるもので、主に昆虫によって伝播されます。モザイク病を防ぐためには、以下の対策が必要です。

  • 感染した植物を早期発見し、隔離する
  • 農薬を使用して害虫対策を行う
  • 手袋を着用して触るようにし、感染経路を最小にする

うどんこ病

うどんこ病はカビによる病気で、高湿度と低温の環境で特に発生しやすくなります。うどんこ病の予防には、下記の対策が有効です。

  • 通風・湿度管理を徹底する
  • 歯にかからないように水やりする
  • (感染による場合は)農薬を使用して害虫対策を行う

つる割病

つる割病は、メロンの過剰な水分摂取による感染によって引き起こされます。適切な水分管理が行われない場合、メロンのつるに割れ目が生じます。つる割病の対策としては、適切な水分管理が重要です。乾燥を好む植物なので、水分不足の見極めは難しいですが、水やりはしっかり行った上で水捌けと通風の構造を見直すことが有効です。

べと病

べと病は真菌感染によるもので、高湿度と高温の環境で発生しやすいです。感染が始まると、メロンの表面に粘着性の液体が現れます。べと病の対策としては、湿度管理の徹底で、水捌けや通風の促進を構造的に行うことが必要です。

まとめ

メロン栽培は手間のかかる作業やトラブルも多い植物ですが、その美味しさや栄養価はその努力に見合うものです。メロン栽培の特性とトラブル対策をしっかり理解し、美味しいメロンを栽培しましょう。

この記事の監修者
田中和男
田中 和男
卒業後、地元のJAに就職し30年以上農機センターで勤務。 定年退職後、自ら中古農機事業を立ち上げて地元を中心に販売・買取やレンタルを行う。 農業機械1級整備士の資格あり。 自らも兼業農家として実家の農業を50年近くやっています。