春の訪れとともに始まる田んぼの準備作業。田植え前の大事な作業の一つが、トラクターによる田んぼの耕運です。
一見単純そうに思えるこの作業には、実は「順序」や「深さ」「速度」といった細やかな調整が求められます。
効率よく均一に田んぼを耕すためには、トラクターの基本的な知識とちょっとしたコツを押さえておくことが大切です。これらを理解せずに作業を進めてしまうと、後々の田植えや収穫に悪影響が出ることも…。
この記事では、中古農機具を検討している方に向けて、トラクターで田んぼを耕す順序やコツについて解説し、適切な深さ・速度についても説明していきます。
- [目次]
トラクターで田んぼを耕す順序

トラクターで田んぼを耕す際の順序は、作業の効率と仕上がりの質を大きく左右します。 適切な手順を踏むことで、均一な土壌を作り上げ、後の代掻きや田植えがスムーズに行えるでしょう。以下では、基本的な耕うんの順序を3つのステップで解説します。
1. 内側から外側へ順に耕す
まずは田んぼの中央部から作業を開始し、徐々に外側へとトラクターを進めていきます。
この方法はトラクターの旋回時に生じる土の偏りを最小限に抑えられ、均一に田んぼを耕すことができます。また、外周部を最後に耕すことで、トラクターの旋回による土の乱れを修正しやすくなります。四角形の田んぼでは特に効果的な方法でしょう。
2. 外周を仕上げとして耕す
内側の耕うん作業が完了したら、田んぼの外周部を仕上げとして耕します。
外周はトラクターの旋回が頻繁に行われるため、土が高くなりやすい傾向にあります。そのため、最後に外周を耕すことでこれらの高低差を調整し、全体を平坦に整えることができます。これにより、代かきや田植え時の水が均一に浸透してくれます。
3. 逆方向から再度耕す
1回目の耕うんが完了したら、トラクターの進行方向を逆にして再度耕うんを行います。
この「切り返し作業」により、土壌が細かく砕かれ、均一な状態になります。切り返し作業を行うことで、1回目の耕うん作業で見落とした部分や、土の塊が残った箇所を効果的に処理することも可能です。
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トラクターで田んぼを耕す際のコツ

続いては、トラクターで田んぼを耕す際の「コツ」についてです。
今回は「一直線にゆっくりと耕す」「ロータリーのカバーを調整する」「作業後のタイヤ痕を処理する」これら3つのコツをご紹介します。
1. 一直線にゆっくりと耕す
田んぼを均一に耕すためには、トラクターを一直線にゆっくりと進める必要があります。
まっすぐに進むことで耕うんのムラを防ぎ、後の作業がスムーズになります。コツとしては、遠くの目標物を定めて信仰方向を維持し、地面ばかりを見ずに進むことがポイントです。また、速度をゆっくりにすることで、トラクターの操作ミスを減らすことができます。
2. ロータリーのカバーを調整する
ロータリーのカバーの調整は、耕うん作業の仕上がりに大きく影響します。
カバーを適切に調整することで土の飛散を防ぎ、均一な土壌を作り上げることができます。特に、カバーとロータリーの間に土を溜めることで、四隅に土がたまりにくくなり、全体を平坦にしやすくなるでしょう。
3. 作業後のタイヤ痕を処理する
耕うん作業後に残るタイヤ痕は、次の作業に悪影響を与える可能性があります。
これを防ぐためには、作業後にタイヤ痕を再度耕すことで、土の表面を均一に整えることができます。トラクターの旋回時に少しバックしてから90度旋回することで、タイヤ痕や土の偏りを最小限に抑えることができます。この一手間が、全体の仕上がりを大きく左右するでしょう。
トラクターの耕運の深さ調節について

トラクターによる田んぼの耕うん作業において深さ調節はとても大切です。
一般的な耕うんの深さは、10~15cm程度とされており、土壌や作物の種類によって調整が必要になります。深すぎるとトラクターの負荷を増加させ、消費燃料の増加や機械が損傷する原因となり、浅すぎると雑草の根が残りやすく、作物の根の発育を妨げることがあります。
深さの調節方法としては、トラクターの耕深調節ダイヤルや油圧レバーを使用することが一般的です。 耕深調節ダイヤルを「深」側に回すと、作業機がより深く土に入り、「浅」側に回すと、作業機が浅くなります。
作業中は、数メートル耕うんした後に一度停止し、実際の耕うん深さを確認することが大切です。調節を繰り返しながら作業を進めることで、均一な耕うんが実現できます。
トラクターで耕運する際の速度や注意点

耕うん時のトラクターの速度は、一般的に1~3km/hがおすすめです。
この速度内での作業は、土壌を均一に耕すことができ、作物の根が伸びやすい環境を整えるのに適しています。速度が早すぎると土壌が十分に砕かれず、硬い部分が残ることがあります。
また、作業中はトラクターのギアを適切に選択し、エンジン回転数やPTO(Power Take Off)の設定を調整することも大切です。例えば、PTOを1速に設定し、エンジン回転数を2500rpm程度に保つことで、安定した耕うんが可能になります。
作業開始前に耕うんする田んぼの状態を確認し、湿度や土壌の硬さに応じて速度や深さを調整する必要もあるでしょう。
さらに、作業中は常に周囲の安全に注意を払い、障害物や他の作業者との接触を避けるよう、慎重に操作することを心がけましょう。作業後にはトラクターの点検を行い、異常がないか確認することも大事です。
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まとめ
今回は、トラクターで田んぼを耕す順序やコツについて解説してきました。
トラクターで田んぼを耕す際は、順序・深さ・速度・操作のコツが仕上がりを大きく左右します。まずは中央から外側へ耕し、最後に外周と逆方向から再度耕すことで土を均一に整えることができます。
耕す際のコツとしては、
「作業中は一直線にゆっくりと進む」
「ロータリーカバーを調整して土の飛散を防ぐ」
「作業後にはタイヤ痕を処理する」
これら3つが挙げられます。
一般的な耕うんの深さは10~15cmであり、速度は1~3km/hです。適切な深さと速度を守り、効率的かつ安全な作業にしましょう。
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