シャキシャキした食感で大人から子供まで人気な野菜「キャベツ」。
味噌汁、ロールキャベツ、サラダとメイン料理との相性もいい野菜で汎用性が高いことでも日本の食卓には欠かせない野菜です。
そんなキャベツですが、
「キャベツを栽培してみたいけど、栽培方法がわからない」
「初心者でも簡単に栽培するにはどういう方法で栽培すればいい?」
キャベツを栽培しようとしたものの、このような悩みを抱えたことはありませんか?
本記事では、キャベツの栽培方法を手順に沿って詳しく解説します。
また、本格的にキャベツ栽培をしていきたい人にとっても、有益な情報も書いています。
他にも、本格的にきゃべつ栽培を始める方に向けて、中古農機具を活用した栽培・収穫方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
1. キャベツの基本情報
春と冬に旬がくると言われているキャベツ。
スーパーや市場には、年中陳列している印象がありますが、旬の時期にキャベツはシャキシャキ感が一層増しすぐに売り切れてしまうほど人気です。
ビタミンC・K・カルシウム、食物繊維、グルタミンなどを含み、加熱調理のみならず生食でも美味しく味わえます。
キャベツはアブラナ科の野菜で、収穫時期によって食感や甘味が、葉の硬さも変わってくるので季節ごとに違ったキャベツを収穫できます。
畑栽培はもちろん、プランターでも栽培できるので初心者でも簡単に栽培できるのがキャベツ栽培。
キャベツの栽培環境
キャベツは15°〜20°と冷涼な気候で栽培します。
栽培環境は、品種や地域によって異なりますが、基本的に年間通して栽培可能な野菜です。
北海道の様な寒冷地では、冬の寒さを乗り越えられないので春〜秋頃にかけて栽培から収穫まで行います。
初心者の方でも簡単に栽培できるように、「プランター栽培」から畑に移植して栽培する方法もあります。
栽培する地域の気候、環境を把握してキャベツを栽培することが成功の秘訣と言えるでしょう。
また、キャベツ栽培で上手くいく鍵は水分量です。
畑でキャベツを栽培する場合、手や散水機で水をあげるのには限界があります。
そのため、北海道の様な大きな畑でキャベツ栽培をする農家さんたちは、基本的に雨の水分だけでキャベツを大きくします。
本州の様な猛暑日が、年に数日あるかないかの気候が北海道。
畑栽培する環境からすると、冷涼な気候であるため最適と言えます。
2. キャベツの栽培時期
「キャベツって種を落としてから栽培、収穫までの期間や時期ってどのぐらいなのだろう」と悩んだことはありませんか?
結論からいうと、栽培時期によって異なります。
というのも、キャベツには以下3つの栽培時期があります。
- 春まきキャベツ
- 夏まキャベツ
- 秋まきキャベツ
それぞれの栽培時期から特徴を解説していきます。
春まきの栽培時期と特徴
春まきキャベツとは、春に種を巻いて夏に収穫をする栽培方法です。
栽培から収穫までの時系列は以下になります。
- 種まき時期:2月下旬〜3月中旬に畑に植え付け。
- 収穫:3月下旬から4月中旬に収穫
春まきキャベツは、種まきから収穫までのスピードが早いのが特徴で、「秋まきキャベツ」「夏まきキャベツ」と比べると少し難易度が上がります。
北海道のような寒冷地では、春まきキャベツの栽培期間中に最適温度に達しないため、極めて難しいでしょう。
しかし、ビニールハウスや屋内などの環境があれば温度調節次第で栽培可能。
本州などは、春まきキャベツでの栽培方法でも、気候的な心配はないので安心して栽培できます。
夏まきの栽培時期と特徴
続いて、「夏まきキャベツ」の栽培時期から収穫時期を解説します。
- 種まき時期:6月下旬〜7月中旬
- 植え付け時期:8月中旬〜9月上旬
- 収穫時期:11月中旬〜12月中旬
夏に種をまいて冬に収穫する「夏まきキャベツ」は、植え付けからの栽培期間が短いのが特徴。
栽培期間が約45日程度と短いため、初心者が始めやすい栽培時期です。
ですが、北海道の様な寒冷地での「夏まきキャベツ」は少し栽培時期が異なります。
北海道の「夏まきキャベツ」の栽培時期は以下になります。
- 種まき時期:3月下旬〜4月中旬
- 植え付け時期:4月下旬〜5月中旬
- 収穫時期:8月〜9月
夏まきキャベツなのに、どうして種まき時期が3月下旬〜4月頃なのかと思いますよね。
北海道での「夏まきキャベツ」は、種まきから植え付け時期までの間、ビニールハウス内で栽培することが多いためです。
ビニールハウスだと温度調節ができ、キャベツ栽培に最適な温度で栽培でき芽が出るスピードもはやまります。
こちらも地域によって栽培時期が異なるので、栽培環境や気候を把握した上での栽培が重要です。
秋まきの栽培時期と特徴
秋まきキャベツの種まきから収穫までの栽培時期は以下になります。
- 種まき時期:10月下旬〜11月下旬
- 植え付け時期:11月中旬
- 収穫時期:4月下旬〜5月中旬
秋まきキャベツの一番の特徴は、害虫の発生が少ないという点。
キャベツに限らず、野菜を栽培するにあたって必ず直面する問題が「害虫問題」。
無農薬で栽培すると食感が増し、甘味が凝縮された野菜を育てられるのですが、そのぶん害虫に葉を食べられるリスクも増えます。
その点、秋キャベツは気温が下がったタイミングでの栽培のため害虫も少なく、被害を受けにくいのです。
元肥を入れておけば、その後追肥しなくても収穫まで安全にキャベツが育ってくれるので、初心者でも簡単に栽培できます。
3. キャベツの栽培手順
キャベツの種まき〜収穫までの栽培手順を解説していきます。
栽培環境によって栽培時期が異なるので、その点を踏まえて参考にしてください。
本記事では、以下の条件でのキャベツ栽培手順を紹介します。
- 栽培地域:北海道
- 栽培方法:春まきキャベツ
- 栽培環境:ビニールハウス・畑
種おとし
まずは、キャベツの種をまく・おとす作業から始まります。
キャベツを栽培する量にもよりますが、少ない数を栽培するのであれば手で1つずつプランターに落とす方法があります。
一方で、一粒ずつ種を落とすのが難しい、大きな畑に移植することを想定しているのであれば、「セルトレイ」に種を落とす方法が一般的です。
セルトレイ栽培は、等間隔に規格化されたトレイと専用の土を用いて栽培する方法であるため、安定した苗を作りやすい特徴があります。
では、セルトレイに種を落とす際に使用する機械が「真空播種機械」です。
真空播種機械にはセルトレイの角穴のサイズに合う様に等間隔で種を落とせるように設計されています。
この機械を使用すると、1つのセルトレイ全ての穴に種を落とすのに10秒ほどででき、一人で完結できます。
ごく稀に、一つの穴に種が2つ入ってしまうことがあるので、落とす前に1粒ずつ入っているか確認しましょう。
苗づくり
セルトレイにキャベツの種を入れる作業が終わると、その上に土を被せます。
セルトレイの高さと同じ高さに土を被せることが重要。
土の分量を均一にしなければ、芽がでるタイミングが揃わない可能性があり、畑に移植する時期が遅れる可能性もあるためです。
全てのセルトレイをビニールハウス内に並べ、その上にパオパオ(農作業用の下手がけ資材)をかけます。
パオパオは、光線透過率が約90%と高く、光量不足による変色や徒長を抑える役割。
良好な生育環境を保つことが重要な期間のため、通気性の良い不織布で蒸れや焼けを防ぐ役割を担います。
ビニールハウス内に、均等に並べられたセルトレイとその上にパオパオをかけたら、あとは水を毎日欠かさずあげることです。
ビニールハウス内では、温度調整が可能なため一定の温度と水分量がいい苗を作る条件になります。
毎日午前中に、全ての苗に水をあげましょう。
この時、散水機があると全て自動で均一に水をあげてくれるので、量が多かったりする場合は導入してみるのもいいかもしれません。
畑づくり
キャベツの苗づくりをしている間に、移植(定植)の準備をしましょう。
移植(定植)準備とは、畑づくりのこと。
北海道でのキャベツの植え付けは、4月下旬から5月上旬ごろ。
畑づくりは移植(定植)前ギリギリになってするのではなく、雪が畑からなくなりトラクターが入れるようになる3月頃から、畑おこしをします。
ただ畑をおこすだけではなく、堆肥をまいて畑に順応する時間を確保するために、あらかじめ早めに畑づくりをする必要があります。
畑を起こしたら、トラクターの後ろに「パワーハロー」という機械をつけます。
この「パワーハロー」とは、畑の土を細かく平にするための機械です。
畑の規模がそれほど大きくなく、トラクターを使わない方は畑1㎡当たり約100gの苦土石灰を混ぜましょう。
苦土石灰を巻くことで、土の酸性度を調整してくれます。
苗を畑に移植
ビニールハウス内で1ヶ月ほど苗を育てたら、畑に移植します。
移植する際、セルトレイから1苗ずつとって移植すると、かなりの時間と労力が必要。
さらに、苗を移植する時に注意しなければいけないポイントは、等間隔で綺麗に、一列で移植すること。
等間隔に一列で移植しなければ、キャベツが実って大きくなった時にぶつかり合って倒れてしまう可能性があります。
この移植作業に役立つ農機具があるんです。
それが「移植機」です。
移植機は大人一人で操作、運転、移植ができる優れもの。
いくつものセルトレイを移植機に乗せ、回転寿司のようにポットが回ってきます。
流れてくるポット内に、セルトレイから1つずつ取り出した苗を入れていくだけの作業。
ここで注意するポイントは、ポットに2つ苗を入れてしまわないように注意すること。
流れてくるポットの速度を調節でき、余裕があれば速くすることだって可能です。
速くなると手を動かすスピードも速くなるため、正確性も劣ります。
1つずつ確実に苗を入れる様に注意しながら移植しましょう。
水やりと除草作業
キャベツを移植したあとは、水やり作業はしません。
基本的に北海道では、移植後は雨を頼りにしてキャベツを育てます。
もちろん思い通りにタイミングで雨は降らないので、天気次第では豊作の年もあれば、不作な年もあるのが農業。
なかなか雨が降らない状況でも、腐らないで力強く育つようにビニールハウス内での栽培をしっかり管理することが重要になります。
キャベツは、苗を畑に移植してから収穫まで約3ヶ月間の期間があります。
この期間にやらなければいけないのが、除草作業です。
除草作業を怠ってしまうと、雑草が大きく育ち収穫の際にとても邪魔な存在になってしまいます。
それだけではなく、雑草についているアブラムシなどの害虫が、キャベツにも入り込んで葉を蝕むのです。
除草剤などを使わずに、無農薬で栽培するのであれば定期的に除草作業をすることが、品質のいいキャベツを作る条件になります。
収穫
ビニールハウスで種をおとし毎日水やりをおこない、3ヶ月間畑で栽培したら収穫作業に入ります。
キャベツの収穫は、包丁を使って1つずつ切りダンボールやコンテナにつむ。
しかし、包丁を使って1つずつ収穫する方法は「生食用のキャベツ」に限ります。
北海道のキャベツは、「生食用キャベツ」と「加工用キャベツ」があり、加工用キャベツは手作業で収穫しません。
では、加工用キャベツはどのように収穫するのでしょうか?
結論、「キャベツハーベスター」で収穫する。
キャベツハーベスターという機械を使って収穫すれば、根付いているキャベツを機械が自動で切って、そのままコンテナまで運んでくれます。
コンテナに積む作業は手作業になりますが、かなりの労力削減になり効率アップ。
4. キャベツ栽培の注意点
キャベツ栽培に関する注意点を2つ紹介します。
この2つを意識しないまま栽培してしまうと、キャベツが腐ってしまい収穫できない状況にも陥る可能性があるので、必ず注意しましょう。
収穫時期が遅れると裂球する
収穫時期がきたら、先送りせず早めに収穫することが重要です。
キャベツは収穫時期が遅れても、そのまま成長し続ける野菜です。
成長し続けてしまうと、キャベツの内側からの成長の圧力に耐えられず外側の葉が割れてしまいます。
割れた葉の部分から、虫が入りこんで葉を蝕んだり、腐ったりする原因にもなってしまいます。
そうならないためにも、収穫時期がきたら先送りせず早めに収穫しましょう。
キャベツの葉が紫色に変色する
キャベツのようなアブラナ科の野菜は、葉の色が紫色に変色することがあります。
アブラナ科の野菜にはアントシアニンという色素があり、冬場のような寒い時期に生成さ紫色に変色しやすい傾向。
また、変色する部分は外気に触れている葉の部分に限ります。
葉が腐ったなどというわけではないため、問題なく食べられますが見た目を気にする場合は、変色した部分の葉だけを切り落として収穫しましょう。
5. 中古農機具を活用したキャベツの収穫方法
今回ご紹介したキャベツの収穫までの過程の中で、いくつか農機具が登場してきました。
大きな畑で栽培する人、一人で栽培するため手作業が大変な人は、農機具を導入して効率よく栽培するのはいかがでしょうか?
農機具を新品の状態で買うと、車と同じぐらいの価格で販売されているものもあります。
そんな簡単に手を出せるものでもないので、結局買わずに人の手だけで作業している方も少なくありません。
そんな悩みを解消してくれるのが、「中古農機具」の活用。
市場には多くの中古農機具が出回っており、今回紹介したキャベツの農機具ももちろんあります。
全て手作業だと、キャベツだけで精一杯だったのが、中古農機具の導入で効率的に栽培でき、他の作物も育てられる時間が確保できる。
農機具を活用すると、栽培と収穫、そして多くの作物を育てられる好循環が生まれます。
これから、農作業をしていく予定の方や効率的に作物を栽培、収穫していきたい方はぜひ検討してみてください。
また、不要になったトラクター、田植機やコンバインなどの古い農機具・農業機械の買取り査定も行っています。動かないトラクターでも買取りできる場合がありますので、気軽にご相談ください。
6. まとめ
本記事では、キャベツの栽培から収穫までの方法を手順に沿ってご紹介しました。
キャベツは、種をまく時期によって栽培期間が大きく異なる野菜です。
栽培する地域、環境、気候もキャベツ栽培をする大きな条件になります。
栽培する土地に適した栽培方法で、美味しいキャベツを収穫しましょう。
- この記事の監修者