味噌汁やスープ、鍋、和物などに使われることが多い野菜「白菜」。
水分量が90%を占めるため、鍋料理や煮物との相性もよく栄養価も高いです。
そんな白菜ですが、
「白菜を栽培してみたいけど、栽培方法がわからない」
「初心者でも簡単に栽培するにはどういう方法で栽培すればいい?」
本記事では、白菜の栽培から収穫までの方法を手順に沿って詳しく解説します。
また、本格的に白菜栽培をしていきたい人にとっても、有益な情報も書いています。
他にも、本格的に白菜栽培を始める方に向けて、中古農機具を活用した栽培・収穫方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
1. 白菜の基本情報
白菜の旬の時期は、11月〜2月の冬場を想像する方が多いですが、実は品種や生産地によって違います。
春白菜は5月〜7月、夏白菜は8月〜10月、秋冬白菜は11月〜2月と一年通して収穫できる野菜です。
そのため、スーパーや市場の野菜売り場には常に陳列していることが多いです。
そんな白菜の出荷量は以下の都道府県が多くを占めています。
- 茨城県
- 長野県
- 群馬県
- 北海道
特に、茨城県と長野県は毎年出荷量1位2位を占めるほどダントツで多いです。
長野県の作付面積は2,850(ha)と、長野県全体の約0.210%を占める面積になります。
白菜ってどんな野菜?
白菜は、中国北部原産のアブラナ科の野菜。
寒冷地や温暖な気候では育ちにくく、冷涼な気候での栽培が主流。
水分量が90%以上と、とてもみずみずしい野菜です。
味も苦味や甘味が少なく淡泊なため、鍋料理や煮物、炒め物や和物など幅広い料理に対応できる野菜で国内消費量も高いです。
カロリーも低く、ビタミンCやカルシウム、カロテンといった栄養素を含んでおり、食物繊維も豊富なため腸活にも役立ちます。
種をまいてから収穫までの日数に関しては、早生、中生、晩生種があり家庭菜園などの環境下で短いスパンで収穫したいのであれば早生、中生がおすすめです。
白菜の栽培環境
白菜の栽培環境は、気候や地域によって異なります。
家庭菜園で白菜を栽培するのであれば、プランターに種を落として肥料を混ぜた土壌で栽培するのが主流でしょう。
しかし、種をプランターやトレイで育苗した後に畑へ移植(定植)するのであれば、ビニールハウスなどの施設での栽培が適切でしょう。
白菜は、育苗期間の栽培を怠ってしまうと栽培期間中に腐ったり、葉が巻かない状態で成長したり、丸みを帯びない形になったりします。
毎日の水やりと温度調整をすることで、根強い白菜へと成長してくれます。
また、白菜はアオムシ・コガナ・アブラムシといった害虫が多く集まる野菜でもあります。
栽培量が少なく、一人で管理できるのであれば毎日葉に虫がついていないか確認しましょう。
最近では、オーガニック栽培にも対応した害虫駆除剤も販売されているので、それらを活用するのもいいかもしれませんね。
初心者でも育てやすい品種
白菜をこれまで栽培したことのない人は、育てやすい品種を選ぶと失敗するリスクが減ります。
白菜を育てやすい品種は「お黄にいり」「黄味小町」「CR郷風」「満風」などがあります。
これらの品種は、全てプランター栽培が可能なので一人で栽培する方にとってはおすすめの品種です。
また、種が余った場合には涼しく日が当たらない場所で保管しておけば、次の年にも植えられます。
初心者の方は、害虫被害を防ぐためにも、種を購入するのではなく苗から購入するのもいいでしょう。
2. 白菜の栽培時期
「白菜って種をまいてから栽培、収穫までの期間や時期ってどのぐらいなのだろう」と悩んだことはありませんか?
結論からいうと、栽培時期によって異なります。
というのも、白菜には以下2つの栽培時期があります。
- 春まき白菜
- 秋まき白菜
それぞれの栽培時期で特徴が異なるので、把握しておくことが重要です。
白菜栽培初心者の人は、栽培期間が短めの品種がおすすめです。
種を購入する前に、種袋に記載された内容を確認し、「春まき」なのか「秋まき」なのか確認しましょう。
春まき白菜
春まきに適した時期は地域によって異なりますが、温暖地では1月中旬〜3月上旬頃、冷涼地では3月下旬〜4月下旬と言われています。
また、春まき白菜は移植(定植)後60日〜63日で収穫できる早生種でもあります。
育苗期間中は、低温で育ててしまうと花芽ができてしまうため、春まき白菜を栽培する際は温床で育苗するようにしましょう。
栽培地域によって寒暖差があるので環境に適した時期に種を落としましょう。
秋まき白菜
秋まき白菜に適した時期も、春まき同様栽培する地域によって異なります。
北海道などの冷涼地では8月下旬には種を巻き始めないと、収穫の時寒さに耐えられなくなってしまいます。
温暖地では8月下旬〜9月上旬までの間で種を落とし、収穫時期は10月下旬から1月下旬ごろまでです。
秋まき白菜の「郷秋」は種を落としてから収穫まで50日と早生種です。
短期間で栽培できるので、万が一うまく育たなかったり、台風被害で白菜がダメになったとしても、巻き直しができる特徴もあります。
家庭菜園で白菜を栽培したいのであれば、春まき白菜より管理のしやすい「秋まき白菜」をおすすめします。
3. 白菜の栽培手順
白菜の種まき〜収穫までの栽培手順を解説していきます。
栽培環境によって栽培時期が異なるので、その点を踏まえて参考にしてください。
本記事では、以下の条件での白菜栽培手順を紹介します。
- 栽培地域:北海道
- 栽培方法:春まき白菜
- 栽培環境:ビニールハウス→畑に移植
種をトレイにまく
まずは、白菜の種をトレイにまきましょう。
その前に、まく種が春まきなのかを必ず確認しておくこと。
白菜を栽培する量にもよりますが、そこまで多くない数を栽培するのであればプランターを何個か用意して1粒ずつ落とす方法があります。
一方で、栽培する量が多すぎて1粒ずつ手で落としていくのが難しい場合は、「セルトレイ育苗」がおすすめです。
セルトレイ育苗は、1つのトレイにいくつもの小さな穴が空いており、1つのトレイで多くの白菜を栽培できる特徴があります。
そのため、栽培する量が多い、あるいはビニールハウスなどの栽培環境を確保しているのであればプランターではなくセルトレイにて栽培するのがおすすめです。
セルトレイに種を落とす際に使用する機械が「真空播種機械」です。
真空播種機械は、セルトレイの角穴のサイズに合う様に等間隔で種を落とせるように設計されています。
この機械を使用すると、1つのセルトレイ全ての穴に種を落とすのに10秒ほどででき、一人で完結できます。
ごく稀に、一つの穴に種が2つ入ってしまうことがあるので、落とす前に1粒ずつ入っているか確認しましょう。
苗づくり
セルトレイに白菜の種を落とす作業が終わると、その上に土を被せます。
セルトレイの中にはある程度の土と種が入っている状態ではありますが、種が剥き出し状態なのでその上にさらに土を被せます。
多めの土をセルトレイ上に乗せ、平らなへらなどで余分な土を落としていきます。
へらを使用する際は、セルトレイと同じ高さになるよう土を被せることを意識しましょう。
土の分量を均一にしなかったら、芽がでるタイミングが揃わなくなり、移植する時期が遅れてしまいます。
セルトレイに種と土を入れ終えたら、ビニールハウス内に均一に並べてその上にパオパオ(農作業時の下手がけ資材)をかけます。
パオパオは、光線透過率が約90%と高く、光量不足による変色や徒長を抑える役割。
良好な生育環境を保つことが重要な期間のため、通気性の良い不織布で蒸れや焼けを防ぐ役割を担います。
畑づくり
白菜の苗をビニールハウス内で育てている間に、移植(定植)の準備をしましょう。
ビニールハウス内である程度育った白菜の苗を、畑に移し替えることを移植(定植)といいます。
北海道のような冷涼な地域では、4月下旬から5月上旬ごろに植え付けをします。
いい白菜を育てるのであれば、いい畑で育てることが重要。
そのために、植え付けギリギリに畑を耕すのではなく、雪が畑から完全に溶けきってトラクターが入れるようになる3月下旬ごろから、畑を作っていきます。
白菜の収穫方法は、基本手作業になります。
機械を使用しないため、収穫しやすい足場を作ることも畑作りには重要なポイントです。
トラクターの後ろにつける「パワーハロー」という機械だと、起こし終えた凸凹な畑を平らな畑にしてくれます。
苗を畑に移植
セルトレイに種を落としてから、ビニールハウス内で約1ヶ月育て、苗を畑に移植します。
苗の移植作業は、手作業でおこなってもいいのですが畝を等間隔に綺麗な一列で並べるのは至難の業。
さらに、セルトレイから1苗ずつ抜いて移植するのも多くの時間と労力が伴います。
畑の規模が大きい場合には、手作業で移植するには限界がありますよね。
そんな移植作業の悩みを解消してくれる農機具があるんです。
それが「白菜移植機」です。
移植機は大人一人で操作、運転、移植ができる優れもの。
いくつものセルトレイを移植機に乗せ、回転寿司のようにポットが回ってきます。
流れてくるポット内に、セルトレイから1つずつ取り出した苗を入れていくだけの作業。
ここで注意するポイントは、ポットに2つ苗を入れてしまわないように注意すること。
流れてくるポットの速度を調節でき、余裕があれば速くすることだって可能です。
速くなると手を動かすスピードも速くなるため、正確性も劣ります。
1つずつ確実に苗を入れるよう注意しながら移植しましょう。
水やりと除草
みずみずしい白菜を栽培するのに水やりはとても重要な作業です。
プランターや家庭菜園などの、一人程度で管理できる量なのであれば定期的に水をあげるようにしましょう。
しかし、大きな畑に移植した白菜にはとても一人で毎日水をあげるのは困難。
北海道で、畑で白菜を栽培している人は、基本的に水やり作業を行いません。
移植後は雨を頼りに白菜を栽培します。
なかなか雨が降らない状況でも、腐らないで力強く育つようにビニールハウス内での栽培をしっかり管理することが重要になります。
水やりと同じぐらい重要な作業が「除草作業」です。
除草作業を怠ってしまうと、雑草が生い茂り白菜の栄養が雑草に侵食されてしまうリスクがあります。
さらに、雑草についているアブラムシなどの害虫が、雑草から白菜に移って葉を食べてしまうこともあります。
収穫量をできるだけ減らしたくないのであれば、定期的な除草作業は必須です。
摘葉
白菜は、成長するにつれて外側の葉が黄色くなって萎れたものや、害虫によって侵食された部分が多くなったりします。
黄色の部分を放置してしまうと、その部分から細菌が入って病気になるリスクがあります。
それらの状況になった場合には、早いうちに摘み取るようにしましょう。
葉を摘み取りすぎてしまうと白菜の玉サイズが大きくならないので、結球前は黄色の部分がひどいものや、侵食具合がひどい白菜を中心に摘むようにしましょう。
害虫被害に合わないためにも、パオパオでトンネル掛けするなどして対策することもおすすめです。
収穫
ビニールハウスで種をおとし毎日水やりをおこない、畑で栽培したら収穫作業に入ります。
白菜の収穫は手作業になります。
用意するものは、「包丁」と「ダンボール or コンテナ」のみ。
収穫できる白菜の判断基準は、白菜の頭の部分をおさえてみて固くしまっているのであれば、収穫できるタイミングです。
大きく実った白菜は、中心部から外側になるにつれて歯のサイズが大きくなります。
葉が巻いていない部分は手で避けて、白菜の頭の部分を抑えて斜めに押し倒し、外葉との間に包丁を入れて切ります。
包丁で切った白菜は、ダンボールに入れるかコンテナに入れて収穫完了。
4. 白菜栽培の注意点
白菜栽培に関する注意点を2つ紹介します。
この2つを注意しないまま白菜を栽培してしまうと、腐った白菜が多くなったり、十分な収穫量を見込めないリスクがあります。
必ず意識して栽培しましょう。
害虫対策を怠らないこと
白菜栽培で最も注意しなければいけないのが、「害虫対策」です。
特に、種を落として苗がまだ小さい頃には徹底した害虫対策をしましょう。
白菜は15°〜20°ほどの冷涼な気候を好みます。
春まき秋まきどちらとも、害虫の被害に遭う可能性は十分にあるため、パオパオなどで害虫を防止するなど工夫が必要。
秋まき白菜は、種まきの時期が早すぎると害虫の被害に遭いやすくなってしまうので、時期を逃さないことが重要です。
雨が降った後は土増しをする
こちらも、白菜の苗が小さい頃に特に注意することで、雨が降ったあとは土増しをすることです。
白菜の苗が小さい頃は、根がしっかりと土の中に張り巡らされていません。
そのため、強風や豪雨に直面してしまうと根が倒れてしまいます。
根がしっかりと土に馴染み、白菜の株が大きくなるまでは雨や風が強い日のあとの土増し作業を怠らないようにしましょう。
5. 中古農機具を活用した白菜の栽培方法
今回ご紹介した白菜の栽培から収穫までの過程で、いくつかの農機具が登場してきました。
苗の数が多かったり、人手が必要な人は、農機具を導入して効率良く栽培するのはいかがでしょうか?
しかし、農機具の新品価格は車が買えてしまうほど高く販売されているものもあります。
そんな簡単に手を出せるものでもないので、結局買えずに人手不足や栽培量を減らしている人も少なくありません。
そんな悩みを解消してくれるのが、「中古農機具」の活用。
市場には、多くの中古農機具が出回っており、新品では高くて手が出せない農機具でもリーズナブルな価格で販売されています。
今回の白菜栽培だと、種をセルトレイに落とす「種落とし機」や、移植の際に使用する「白菜移植機」などがあります。
白菜の栽培量を増やしたい人や、白菜以外の野菜もやってみたい人はぜひ導入を検討してみてください。
6. まとめ
本記事では、白菜の栽培〜収穫までの方法を手順に沿ってご紹介しました。
白菜は、地域や気候によって栽培する時期が異なります。
栽培する土地に適した栽培方法で、美味しい白菜を収穫しましょう。
- この記事の監修者