ピーマン畑

中古農機具を活用したピーマンの栽培・収穫方法を解説

2023.10.18

ビタミンCをたっぷり含む、栄養価が非常に高い野菜です。

ビタミンCを多く含むピーマンは、紫外線から肌を守ったりシミやそばかす予防になったり、美肌効果として大きな役割を担います。

そんな栄養豊富なピーマンですが、

ピーマンの育て方が気になる方、初めてでも安心して挑戦したいですよね?

初心者におすすめの簡単な栽培手法か?

この記事では、ピーマンの育て方から収穫のコツまで、分かりやすく説明しています。

経験者向けの深い内容も掲載しているので、さらなる知識を求める方もご安心ください。

さらに、中古農機具を利用した栽培・収穫のアドバイスも含まれているため、多角的な視点からピーマンの栽培を学べます。ぜひ参考にしてみてください。

目次
  1. ピーマンの基本情報
  2. ピーマンの栽培方法
  3. ピーマン栽培手順と管理
  4. ピーマンの収穫時期と方法
  5. ピーマン栽培の注意点
  6. 中古農機具を活用したピーマンの栽培方法
  7. まとめ

1. ピーマンの基本情報

ピーマン

上記のような一般的なピーマンはナス科に分類され、唐辛子を改良して生まれた野菜です。

日本で出回っているピーマンは、イスパニア種という品種改良されたものと言われており、これは明治初期にアメリカから渡来した際に持ち込まれました。

唐辛子の変種ではありますが、からさはなく苦味が強いのが特徴。

また、ピーマンを早期に収穫すると緑色な状態ですが、成熟させることで赤・黄色に変色します。

ピーマンは、ビタミンCだけでなくビタミンE、βカロテン食物繊維も豊富に含まれています。

ピーマンだけでも多くの栄養素を摂取できるため、様々な料理に加えられています。

また、ピーマンは家庭菜園でも簡単に栽培できることでも有名。

ピーマンの苗の植え付け後から、早ければ1ヶ月程度で収穫ができる品種もあるので、できるだけ簡単に栽培できる野菜をお探しの方にはおすすめです。

ピーマンってどんな野菜?

ピーマンの苗

ピーマンは一つの苗から育った株から、いくつもの実が出てくるので多く収穫したい人にはおすすめの野菜です。

品種にもよりますが、一つの苗から約50〜60個は収穫可能です。

もちろん家庭菜園でも、50〜60個程度であれば栽培できますが、栽培環境を整えれば一つの苗から100個以上の実を収穫できます。

ピーマンといっても様々な品種があり、形や色が似ていても違うものです。

それぞれの違いと特徴は以下になります。

緑ピーマン
市場にもっとも出回っているピーマンが緑ピーマン。果肉は薄目で苦味が少しあるのが特徴。7cm前後の大きさで販売されていることが多いです。
赤ピーマン(カラーピーマン)
赤ピーマンは、緑ピーマンが完熟すると赤色に変色したものになります。完熟すると苦味や青臭さが少なくなり、甘さが出てきます。食感もシャキシャキ感のある緑ピーマンと比べて皮が柔らかくなるのが特徴。
パプリカ
一般的な緑ピーマンや赤ピーマンはシシ型という種類に分けられていますが、パプリカはベル型という品種に分けられるナス科の野菜です。パプリカはピーマンと比べて苦味が少なく、肉厚なのでサラダなどに含まれていることが多いです。
フルーツピーマン
フルーツピーマンは、糖度を増し甘さを引き立てるために改良して作られた品種です。有名なもので言えば「セニョリータ」や「ぱぷ丸」という品種はサイズも一般的なピーマンと比べて小さいですが、甘味が強く生食やサラダに使用されていることが多いです。

ピーマンの栽培環境

ビニールハウスでピーマンを栽培

ピーマン栽培をする上で、上記のようなビニールハウスなどの栽培環境を整えることはとても重要です。

ピーマン栽培に適している温度は22°〜30°と言われており、野菜の中でも高温での栽培となります。

ピーマンは、高温でも枯れずに耐えられるほど強く育ってくれるので、北海道のような冷涼な気候だけでなく、猛暑が続く関東でも栽培が可能。

一方で、低温での栽培には注意が必要です。

低音に弱いのがピーマンの弱点で、苗の植え付けは気温が上がって十分暖かくなってからにしましょう。

日当たりの良い場所を探して日光を十分浴びせることが、うまくピーマンを栽培する方法です。

また、畑に定植してピーマンを育てる場合、土を深く耕すのがポイント。

というのも、ピーマンの苗は定植後まっすぐ上にぐんぐん伸びていくので、それを支えるための根が土の中でたくさん張りめぐらされます。

土が浅い状態だと十分根が張っていないため、長く伸びた苗を支えられず倒れてしまうケースもあります。

そうならないためにも、土は深く耕し水はけのいい状態にするのがうまく栽培するためのコツです。

2. ピーマンの栽培方法

ピーマンの栽培方法は、「地植え栽培」と「鉢植え栽培」に分かれます。

それぞれ栽培の方法から特徴も違うので、確認しておきましょう。

地植え栽培

ピーマンを地植え

ピーマンは、湿度が高い場所でも乾燥しているところにも弱いです。

そのため、上記画像のように高畝にして水はけの良い状態を作ってから地植えしましょう。

畝の高さは20〜30cmで60cmほどの幅を目安に作ると水はけがよくなります。

苗同士の間隔を50cmほどあけて植えていきます。

早植えする場合や冷涼な地域での栽培は、夜中や早朝時に気温が下がることがあるので、寒さ対策として黒ポリマルチをしておきましょう。

根付くまで、最低でも1週間は土が乾燥しないように毎日水やりを欠かさないことが重要です。

地植え栽培は、畝を作らなければいけなかったり、苗同士の感覚をあけなければいけないため、それなりの広さのある土地が必要になってきます。

庭に畑があったりする場合には大丈夫ですが、そのような環境下でない場合にはおすすめしません。

鉢植え栽培

ピーマンを鉢植え

ピーマンを鉢植えで栽培する場合、画像のようなプランターや鉢を選ぶようにしましょう。

鉢で栽培するのであれば10号以上で、プランターであれば20L以上の大きさが目安です。

鉢に土を入れ、いきなり苗を入れてはいけません。

まず、鉢の中にネットを敷き、石を敷き詰め、鉢の縁から2〜4cmほど下まで土を入れます。

市販で売られている野菜用培養土を使うと、手軽にできるのでおすすめです。

複数株植える際の注意点は、株同士の幅を20cm以上あけること。

10号の鉢で栽培するなら一株が限界で、20Lのプランターで栽培するなら2株が限度でしょう。

苗を植え付ける際は、根についている土をできるだけ落とさないようにし、定植後はすぐに水をあげます。

こちらも地植え栽培同様、定植後の1週間は根がしっかり張るよう水を欠かさずに与え続けることが重要です。

3. ピーマン栽培手順と管理

続いて、ピーマンの栽培手順と管理方法について紹介します。

今回は、種から栽培する方法について解説していきます。

種から栽培する場合

ピーマンの種

ピーマンは、水やりと温度さえ管理していれば種からでも簡単に発芽してくれるので、初心者の人でも簡単に収穫できます。

手軽さと確実さを重視したい人は、種からではなく苗を購入して栽培する方法をおすすめします。

種まきは、4月上旬になって気温が暖かくなってきてから撒くようにしましょう。

北海道のような冷涼な地域では、4月上旬でも20°を下回る日が続くので5月上旬まで待つと、気温が20度前後で安定してくれるので、少し遅らせましょう。

20°を下回る時に種を撒いてしまうと、芽が出てきない場合があるので焦らず待ちましょう。

ピーマンを種から栽培する手順は以下の通りです。

  1. 育苗ポットやプランターを用意し、小指で軽くくぼみをつけて種を3〜4粒まく
  2. 種を撒いたらその上に土を被せ、すぐに水をやる
  3. 発芽し本葉が2〜3枚出たら、育苗ポットに一株ずつ移し替える
  4. 移し替えた後、本葉が8枚ほどになれば苗の完成

苗の植え付け

畝

種をプランターで育て、本葉が8枚ほど出たら次に植え付けです。

植え付けるためには、画像のような畝を作るところから始まります。

以下の手順に沿ってピーマンの植え付けを行います。

  1. 高さ20〜30cm、幅60cmほどの畝を作ります
  2. 畝にマルチを敷き、株と株の間を50cmあけて穴を作りましょう
  3. 植え付け前に苗にあるわき目を全て摘む
  4. 鉢から抜き取る前に水をあげる
  5. 土をできるだけ落とさないように鉢から抜き取る
  6. 苗を畝に作った穴の中に丁寧に植える
  7. 苗と畝の土を馴染ませるように手で軽く押す
  8. たっぷり水をあげる
  9. 乾燥を防ぐために敷きわらを敷く

水やり

水やり

上記画像は、苗と苗の間にたくさん穴の開いたホースを伸ばして水をあげている様子です。

ピーマン栽培で水やりを怠ってしまうと、いくら栽培環境が良くても収穫前に腐ってしまいます。

気温の高い場所を好むピーマンですが、乾燥と多湿には弱いです。

水をあげないのもよくありませんが、あげすぎもよくありません。

ではどのぐらいあげればいいのでしょうか?

目安は、土の表面が乾いてきたら水をあげるようにしましょう。

また、ピーマンの葉や茎部分に水をあげても水を弾いてしまい吸収しないので、苗下に水をあげるとしっかり吸収してくれます。

水切れ状態が続いてしまうと、ピーマンの形が奇形した状態で実ってしまったり、尻腐れしたみがなってしまうことも。

7月下旬〜8月中旬ごろは、気温が高くなり水分が蒸発しやすいのでこまめに水分をあげることをおすすめします。

追肥

ピーマンの苗に最初の実がついたら、マルチと敷きわらを外して一株あたり20gほどの化成肥料をまきましょう。

化成肥料がない場合は、液体肥料で代用することもできるので、週に1回程度水やり代わりに施すようにしましょう。

肥料が少なかったり足りなかったりすると、リン酸不足が原因で花が咲いても実らないこともあります。

一方で、肥料が多すぎても実がならない可能性があるので適量あたえることが重要です。

収穫後期の話になるのですが、後期には苦土石灰が不足しがちになります。

苦土石灰にはマグネシウムとカルシウムを多く含んでいます。

これらが不足してしまうと、光合成が弱くなったり尻腐れの実がなったり、病気になりやすくなってしまいます。

そうならないためにも、元肥として混ぜておくようにしましょう。

一番花をとる

ピーマンの苗を植えてから、すぐに花が咲き始めます。

ピーマンは基本的に若い実を収穫するようにするので、そのままにしておいても問題はありません。

しかし、苗に負担がかかってしまうので苗がしっかり根付くまでの初期の頃は、1番花は摘むようにしましょう。

もちろん、実がなるまでは水やりを怠らずに。

また、苗が安定していない時期はすぐに落ちてしまうことも多々ありますが、それは仕方がないことなので心配せず今まで通りの管理を続けましょう。

誘引

ピーマン

画像のように、実の数が多くなればなるほど、苗にかかる負担は大きくなり支えきれず茎が折れてしまうリスクもあります。

ピーマンの茎は細く折れやすいので注意が必要です。

そうならないためにも、支柱を立てて茎が折れないように支えましょう。

支柱は、草丈が50cmほどになったら苗の脇に1本たてて誘引する。

横の苗も伸びてきたら、支柱を2本に増やし交差させて結ぶようにしましょう。

苗の数が多ければ多いほど、支柱の数を増やすことで負担を軽減させられるので、長い期間栽培できるでしょう。

摘果

1つの苗で最初になった実のことを一番果といいます。

一番果を摘み取ると、栽培期間を長くできる場合があります。

せっかく実った一番果を、なぜ摘み取ってしまうのでしょうか?

一番果は、苗が十分に育っていない早い段階で実ってしまうため、まだもろい状態の苗に大きな負担をかけてしまいます。

一番果を摘み取らず放置すると苗が弱ってしまい、結果的に収穫時期の早い段階で腐ってしまうのです。

苗の根がしっかり張っていない初期のころに実る一番果は摘み取り、次に出てくる実を収穫した方が、長く栽培でき多く収穫できます。

整枝

整枝は3本立てにすることをおすすめします。

整枝の目的は、害虫被害を最小限に避けるためです。

栽培期間が長くなればなるほど、葉が生い茂り、風通しが悪くなってしまい、害虫被害が生じやすくなるのです。

他にも、整枝することで葉一つ一つに日光をまんべんなく当てられるので、力強い苗に育ちます。

4. ピーマンの収穫時期と方法

ピーマンの収穫時期と方法について触れていきます。

収穫時期

まず収穫時期ですが、6月〜10月の間で収穫できると言われています。

管理作業を怠らず、水もこまめにあげ続けると6月中旬から霜が降るまでの間で収穫可能。

収穫期間をできるだけ長くしたい人は、水や肥料をあたえるだけではいけません。

ピーマンの色が緑色の未熟果のうちに収穫することで、苗の負担を減らせます。

未熟果のピーマンは、開花から15日〜20日ほどで完熟果は40日〜50日ほどです。

雨や強い風などが吹くと、実が落ちてしまう場合も多いので天気をチェックしながら栽培しましょう。

収穫方法

ピーマンのヘタ部分をハサミで切る

収穫方法はとても簡単で、画像のようにピーマンのヘタ部分をハサミで切るだけ。

手でもぎ取って収穫すると、枝が折れてしまうリスクがあるのでハサミを使用しましょう。

5. ピーマン栽培の注意点

病害虫や生理障害対策をしっかりする

ピーマンの生理障害・連作障害

ピーマン以外にも、ナス科の野菜と連作して栽培すると上記画像のような生理障害や連作障害を引き起こすリスクがあります。

主に以下の野菜を連作すると連作障害が起こる可能性があります。

  • トマト
  • ジャガイモ
  • ナス

土には多くの栄養素が含まれており、同じ科から吸収される栄養素はほとんど同じ。

そのため、ナス科を連作してしまうと土の栄養素が少なくなってしまい、年々収穫量が減ったり、腐れが増えたりしてしまいます。

腐れ部分が多くなると、生理障害や虫による被害も多くなってしまうのです。

基本的にナス科を栽培した場合、次にナス科の野菜を栽培するまで3〜4年の期間を空けるようにしましょう。

管理作業を怠らない

ピーマンは温度や湿度にとても敏感な野菜です。

種をまいてから苗の移植までの間は、特に水やりをこまめにあげるようにしましょう。

土の表面が乾燥しているのであれば、水をあげ一番花が咲いたら摘葉する。

管理作業を丁寧にやると、丈夫な苗が育ち収穫量も増えます。

6. 中古農機具を活用したピーマンの栽培方法

パワーハローで耕す

ピーマンを栽培するにあたって、栽培量を多くしたい人は中古農機具の導入を検討するのもおすすめです。

ちなみに、上記画像は手動の「パワーハロー」というもので、畑を耕すための機械です。

しかし、農機具の新品価格は車が買えてしまうほど高く販売されているものもあります。

そんな簡単に手を出せるものでもないので、結局買えずに人手不足や栽培量を減らしている人も少なくありません。

そんな悩みを解消してくれるのが、「中古農機具」の活用。

市場には、多くの中古農機具が出回っており、新品では高くて手が出せない農機具でもリーズナブルな価格で販売されています。

ピーマンの収穫時に使用できる農機具はありませんが、水を一定量あげられる「散水機」であったり、畝を綺麗に作ってくれる「畝立て機」もあります。

中古農機具を使用すると、人件費を削減できるのに加え作業効率も圧倒的に向上します。

効率がよくなれば、その間に時間が作れるので他の作物の栽培だって可能です。

栽培量を増やしたい、コストを削減したい人にとって中古農機具の導入はとても有効的なので、ぜひご検討してみてください。

7. まとめ

本記事で、ピーマンの栽培・収穫方法についてご紹介しました。

ピーマンは、家庭菜園でも畑でも簡単に栽培できる野菜です。

管理作業を怠らずに、新鮮なピーマンをたくさん収穫しましょう。

この記事の監修者
田中和男
田中 和男
卒業後、地元のJAに就職し30年以上農機センターで勤務。 定年退職後、自ら中古農機事業を立ち上げて地元を中心に販売・買取やレンタルを行う。 農業機械1級整備士の資格あり。 自らも兼業農家として実家の農業を50年近くやっています。