(株)アテックスは農業用運搬車などの製造会社でしたが、2005年に果樹園向けとして乗用草刈機「刈馬王」の販売をはじめました。
草刈り機メーカーとしては後発になりますが、業界で初めてサスペンションを搭載したり、枝フォークをオプション化したりと新機能開発に意欲的な会社です。
本記事では、アテックス製乗用草刈機「刈馬王」について詳しく紹介します。
その歴史や主要なモデル、特徴に加え新車や中古車の価格情報、買取り価格、他社製品との比較など、幅広い視点から「刈馬王」を検証していきます。
草刈機に関心のある方、乗用草刈機の購入を検討している方に向けて、「刈馬王」の魅力を伝えるとともに、選び方や購入時のポイントを解説します。
(注1:記事中のエンジン出力はグロス表示です。)
(注2:販売開始、終了年は明確な資料がなくある程度推測に基づいています。)
- [目次]
アテックス乗用草刈り機の生産型式
アテックスは後輪駆動の刈刃駆動ベルトが座席下についた乗用草刈機「刈馬王」を2005年に新発売し、2013年にフルタイム4輪駆動車を追加しました。
初期モデルの変遷を経て2016年、2017年、2019年、2022年(現行)とモデルチェンジが頻繁に行われてきました。
ここでは年代ごとに刈馬王を解説します。
◾️2003年~2013年までの生産型式
引用元:アテックスHP
2005年~2013年まで車種を増やしたり改良を重ねたりしながら毎年のようにモデルチェンジが行われてきました。基本的な機能は2013年モデルまでに組み込まれました。
<排塵ファン及びフルオープンカバー>
刈刃カバーのプーリーに排塵用のファンで、草が堆積しやすい刈刃カバー上部の草を吹き飛ばすようになっています。
さらにカバー類がシートごと後方へフルオープンするのでメンテナンスや清掃がしやすくなっています。
<シートスライド>
枝が邪魔になって際まで刈れないことが多々あります。これに対応するためシートが右側へスライドして枝などを避けます。シートスライド機構により、際刈りがしやすくなりました。<前輪サスペンション>
前車軸はセンターピボット方式ですが、サスペンションがついているので地面からの衝撃を和らげます。<4輪駆動車>
泥濘や傾斜地でも使えるようにフルタイム4輪駆動車R980Fが2013年に新初売されました。これでラインナップが揃いました。
<枝フォーク>
果樹園でせん定した枝を集めるのに便利な枝フォークがオプション設定さされています。枝フォークは刈馬王にピン一本で脱着ができます。これで、せん定した枝などを集める作業が楽になりました。
<乗用草刈り機の代表型式と中古・買い取り相場>
代表型式はエンジン出力の大きいR980です。生産数が少ないので中古車が出回っていないようで価格相場もありません。
型式 | 生産開始年 | 生産終了年 | E/G馬力(PS) |
R-950 | 2005 | 2005 | 18 |
R880-HA | 2007 | 2009 | 16 |
R-950HB | 2008 | 2009 | 19 |
R-960HA | 2008 | 2009 | 21 |
R-880HB | 2009 | 2010 | 16 |
R-803 | 2010 | 2013 | 13 |
R-951 | 2010 | 2010 | 19 |
R-953 | 2010 | 2010 | 19 |
R-963 | 2010 | 2010 | 21 |
R-880S | 2011 | 2011 | 16 |
R-953S | 2011 | 2011 | 19 |
R-963S | 2011 | 2012 | 21 |
R-885 | 2012 | 2015 | 16 |
R-955 | 2012 | 2016 | 20 |
R-805 | 2013 | 2015 | 16 |
R-980 | 2013 | 2016 | 24 |
R-980S | 2013 | 2015 | 24 |
◾️2016、2017年の生産型式
引用元:アテックスHP
後輪駆動のフロントサスペンションが改良され乗り心地がよくなりました。デザインも統一されてアテックスの「刈馬王」だと一目でわかるようになっています。また、2016年モデルでHSTレバーが廃止されましたが2017年モデルで復活しました。
<前輪サスペンション>
従来の前車軸はセンターピボット方式のため両輪が段差を乗り越える場合、そのまま衝撃が車体に加わりサスペンションの役割が不十分でした。
今回の改良で両輪が段差をのり超える場合にもサスペンションが働き車体への衝撃を和らげるようになり乗り心地が改善されました。
<HSTレバーの廃止と再設定>
以前からついていたHSTレバーが2016年モデルでいったん廃止されました。安全性からいえば緊急事態には手動レバーを固定する方式よりペダル方式の方が安全ですが、手動レバー式の方が利便性と慣れでは優位性があります。
このため2017年モデルでHSTレバーが復活しました。
<乗用草刈り機の代表型式と中古・買い取り相場>
代表型式はエンジン出力の大きいR-9824ABですが中古はあまり出回っていないようです。2016年モデルはHSTレバーが悩みどころです。
レバーが不要なら無いこと理由に値下げ交渉できますし、レバーが必要なら2016年モデルは避けた方が良いと思います。この点が、購入時と売却時にポイントとなる点です。
型式 | 生産開始年 | 生産終了年 | E/G馬力(PS) |
R-805AB | 2016 | 2017 | 16 |
R-885AB | 2016 | 2017 | 16 |
R-955AB | 2016 | 2017 | 20 |
R-980AB | 2016 | 2017 | 24 |
R-980FAB | 2016 | 2017 | 24 |
R-983Z | 2016 | 2017 | 20 |
R-8016 | 2017 | 2019 | 16 |
R-8816 | 2017 | 2018 | 16 |
R-9520 | 2017 | 2019 | 20 |
R-9820 | 2017 | 2018 | 20 |
R-9824 | 2017 | 2019 | 24 |
R-9824F | 2017 | 2019 | 24 |
◾️2019年、2022年(現行)の生産型式
引用元:アテックスHP
省エネ対策や操作性向上、4輪駆動車にフロントサスペンションが搭載され乗り心地が改善されました。
<省エネ対策>
省エネ効果の高いLEDランプやエドライブモードが設定されました。
<操作性の向上>
走行ペダルや座席シートが個人の体格に合わせて調整できるようになり、操作性が向上しました。
<4輪駆動車の前車軸サスペンション>
業界で初めて4輪駆動車にフロントサスペンションが採用され、センターピボット方式ではありますが乗り心地が改善されました。
車両自体が沈みこむことはありませんので、サスペンションのせいで刈高さが変わるようなことはありません。
<代表型式と中古買い取り相場>
代表型式はエンジン出力が大きい上級モデルのR9824ABです。これも中古市場に出回っておらず相場はありませんが、比較機種としてオーレックのRM984Xになります。RM984Xが50万円程度で取引されていますのでそれより若干下がるくらいが相場といえます。
→【完全ガイド】オーレック乗用草刈り機ラビットモアの型式・価格一覧
型式 | 生産開始年 | 生産終了年 | E/G馬力(PS) |
R-8016A | 2019 | 2021 | 16 |
R-8816A | 2019 | 2021 | 16 |
R-9520A | 2019 | 2021 | 20 |
R-9820A | 2019 | 2021 | 20 |
R-9824A | 2019 | 2021 | 24 |
R-9824FA | 2019 | 2021 | 24 |
R-9824FB | 2021 | 販売中 | 24 |
R-8816AB | 2022 | 販売中 | 16 |
R-9520AB | 2022 | 販売中 | 20 |
R-9820AB | 2022 | 販売中 | 20 |
R-9824AB | 2022 | 販売中 | 24 |
◾️現行モデル主要諸元
今まで主要緒言には触れずに説明しましたが、ここで改めて現在販売されている型式の主要緒言と販売価格をまとめてご紹介します。
主流は後輪駆動車ですが、泥濘や傾斜地に対応できるようなフルタイム4輪駆動車のR9824FBもラインナップされています。
軽トラックで運搬できるように後輪駆動車の車両重量はすべて350kg以下です。
機種 | R9824FB | R9824AB | R9820AB | R9520AB | R8816AB |
車両重量 (kg) |
360 | 320 | 325 | 305 | 295 |
全長 (mm) |
1965 | 1910 | 1910 | 1850 | 1825 |
前幅 (mm) |
1075 | 1075 | 1075 | 1060 | 980 |
全高 (mm) |
875 | 875 | 875 | 855 | 855 |
エンジン出力 (PS) |
24 | 24 | 20 | 20 | 16 |
刈幅 (mm) |
980 | 980 | 980 | 950 | 880 |
刈高さ (mm) |
10~100 | 10~80 | 10~80 | 10~80 | 0~80 |
駆動方式 | HST | HST | HST | HST | HST |
速度 (km/h) |
0~10 |
高速0~10 |
高速0~10.5 低速0~6.8 |
高速0~10 低速0~6.4 |
高速0~10 低速0~6.4 |
登板能力 (度) |
25 | 15 | 15 | 15 | 15 |
価格 (千円) |
1364 | 1097 | 1026.3 | 990 | 933.9 |
まとめ
◾️アテックス、オーレック、キャニコムの価格比較
乗用草刈機刈馬王のラインナップはオーレックと競合するようなラインナップですが、アテックスは20、24馬力が主流です。特にR9824ABは先発の2社の製品を性能や価格で比較するとお買い得な機種となっています。
<エンジン馬力と価格(千円)の比較>
アテックス | 933.9 | - | - | 990 | 1026.3 | - | - | 1097 |
キャニコム | - | - | - | - | - | 968 | 1100 | - |
オーレック | 770 | 825 | 1206.7 | - | - | - | - | 1142.9 |
E/G馬力 | 16 | 16 | 18 | 20 | 20 | 22 | 22 | 24 |
◾️アテックスの今後
アテックスの草刈り機は今後も技術革新を経て、草刈分野の発展に大きく貢献していくでしょう。選び方や今後の展望を理解し、自分のニーズに合った乗用草刈り機を選択することが、より効率的で持続可能な草刈作業に繋がります。
乗用草刈機だけでなく、最近はラジコン車にも力をいれているようです。
◾️草刈機の選定、売買方法
また、最近は乗用草刈機は選択肢が増えていますので機種選定の際にはメーカーでパンフレットを取り寄せたり、JAや販売店でアドバイスをもらいながら選びましょう。
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