日本の食卓に馴染みのある代表的な野菜「玉ねぎ」。
カレー、味噌汁、ハンバーグ、サラダと汎用性の高い野菜として多くの食卓に並べられています。
そんな玉ねぎですが、
「玉ねぎを栽培してみたいけど、栽培方法がわからない」
「初心者でも簡単に栽培できるって聞いたことあるけど本当?」
玉ねぎを栽培しようとしたものの、このような悩みを抱えたことはありませんか?
本記事では、玉ねぎの栽培方法を手順に沿って詳しく解説します。
他にも、本格的に玉ねぎ栽培を始める方に向けて、中古農機具を活用した栽培・収穫方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
玉ねぎの基本情報
玉ねぎは、生で食べると辛みの効いた独特の香りがありますが、加熱すると辛みがなくなり甘味が引き立つ野菜です。
また、鉄やミネラル、カルシウム、リンやビタミンB1、B2も含む栄養価の高い野菜です。
全国各地で栽培されていることもあり、日本の食卓に欠かせない野菜でもあります。
玉ねぎ(タマネギ)の植え付け時期
玉ねぎは、冬越しさせて栽培する野菜として知られています。
寒さに強く、冬を越して育つ玉ねぎは甘味が強く、玉サイズも大きいものに仕上がります。
しかし、北海道での玉ねぎの栽培時期は異なります。
北海道の場合、春に植え付け夏を越した秋に収穫するのが主流。
冷涼な気候を望む玉ねぎですが、北海道のような寒冷地の冬を乗り切るのは困難です。
秋まき栽培での玉ねぎは、貯蔵性はあまり良くありませんが、肥大しサイズが大きいことが特徴です。
一方で春まき栽培の玉ねぎは、秋まきほど肥大しませんが、貯蔵性が高いのが特徴。
栽培する地域の気候によって植え付け時期が異なり、仕上がりにも変化があるのが玉ねぎ栽培です。
玉ねぎ(タマネギ)の栽培環境
本州と北海道で、栽培環境は大きく異なります。
玉ねぎの発芽最適温度は20℃前後と言われており、適温での栽培であれば1週間ほどで発芽します。
玉ねぎが発芽して、移植(定植)するまでの間は、ビニールハウスやプランターで栽培。
本州の玉ねぎは、秋の9月頃に種をまいて11月頃に畑に移植(定植)します。
冬の間に玉ねぎの葉と根をある程度作り、春になると日の出時間が長くなるので、それに反応し肥大していきます。
北海道では、冬の寒さが厳しく玉ねぎの越冬が厳しいため、冬が過ぎた春頃(3月)に種を巻きます。
しかし、北海道の春は最高気温でも20℃を越えることはなかなかありません。
発芽に最適な温度20℃という環境を確保するために、「ビニールハウス」内での栽培が北海道では主流です。
太陽の日差しを浴びたビニールハウス内は、20℃ほどと発芽最適温度になります。
日によって最適温度を越える場合もあるので、こまめな換気が必要です。
玉ねぎの栽培から収穫までの手順
それでは、玉ねぎの栽培から収穫までの手順を解説していきます。
今回は、北海道での栽培方法を例にご紹介しますが、発芽や移植(定植)のタイミングは違いますが、作業内容にはそれほど違いはありません。
玉ねぎの栽培を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
苗づくり
北海道で玉ねぎを栽培する時期は、まだ雪が残っている4月を目処に苗づくりを始めます。
農家さんは、3月下旬ごろから玉ねぎを栽培するビニールハウス内の土を起こし始めます。
北海道の畑は広く、地床育苗でなくセルトレイ育苗で苗を作ります。
- 地床育苗:畑に直接種をおとし苗を育てる方法
- セルトレイ育苗:セルトレイに1粒ずつ種を落とし育てる方法
セルトレイ育苗は、等間隔に規格化されたトレイと専用の土を用いて栽培する方法であるため、安定した苗を作りやすい特徴があります。
また、地床育苗では畝立てをしなくてはいけませんが、セルトレイ育苗はその必要がありません。
こまめな水やり
ビニールハウス内で栽培している玉ねぎは、最適温度を保つことと培土が乾かないようにすることが、安定した根と葉を作るために欠かせません。
培土が乾かないように、1日1〜2回水をやりましょう。
ビニールハウスの規模が大きい場合には、上から吊り下げて水をやる散水機を活用すると、全体に効率よく水が行き届きます。
葉切り作業
玉ねぎの育苗では、葉切り作業も欠かさず行いましょう。
葉切り作業は、苗の育成を整え倒伏を防止するために行います。
ビニールハウスでの栽培期間中に、葉の伸び具合を確認しながら5〜8回ほど葉切りを行いましょう。(葉切りの回数は栽培環境によって異なります。)
セルトレイ育苗で栽培すると、地面が均平に整えられた上に敷いてあるため、葉切り作業も行いやすいメリットがあります。
葉切り作業時に使うのが、玉葱剪葉機という機械。
両端に一人ずつの2人体制で完結でき、エンジンをかけてあとは手で前進していくだけの作業なので、初心者でも簡単に扱えます。
葉切りを怠らずにこまめに切ることで、ビニールハウスから畑に移植(定植)したあと、根強い玉ねぎに成長します。
畑づくり
玉ねぎの苗づくりをしている間に、移植(定植)の準備をしましょう。
移植(定植)準備とは、畑づくりのことです。
北海道での玉ねぎの植え付けは、農家さんによって異なりますが4月下旬から5月上旬ごろ。
畑づくりは移植(定植)前ギリギリになってするのではなく、雪が畑からなくなりトラクターが入れるようになる3月頃から、畑おこしをします。
ただ畑をおこすだけではなく、堆肥をまいて畑に順応する時間を確保するために、あらかじめ早めに畑づくりをする必要があります。
畑の規模がそれほど大きくなく、トラクターを使わない方は畑1㎡当たり約100gの苦土石灰を混ぜましょう。
苦土石灰を巻くことで、土の酸性度を調整してくれます。
苗を畑に移植
ビニールハウスで栽培した玉ねぎを、畑に移植(定植)します。
定植の時期は栽培環境や、苗の育ち具合によって異なります。
ビニールハウスに播種してから2ヶ月ほど経過し、苗の太さが5〜7mmほど、草丈が20〜25cm程度のころが移植(定植)のタイミングとしてはベストでしょう。
苗の太さと草丈が十分でない時に移植(定植)してしまうと、玉ねぎが大きい玉サイズにならない可能性があります。
身の詰まった肥大した玉ねぎを収穫するためにも、移植(定植)するタイミングは苗の太さと草丈をよく見極めてから行いましょう。
一方で、セルトレイ育苗で育てた苗はどのように畑に移植するのでしょうか?
結論、玉ねぎ移植機を活用して効率的に移植(定植)作業をします。
玉ねぎの移植機はメーカーによって使い方は異なりますが、セルトレイ育苗の苗を移植(定植)するのはとても簡単です。
移植機は、一人で運転から移植まででき一台あれば大幅な時間削減に繋がります。
毎年玉ねぎ栽培をする方や、移植(定植)する畑の規模が大きい方はぜひ活用してみてください。
水やりと除草作業
水やりは基本的に雨頼りになります。
天候次第で豊作な年もあれば不作な年もあるのが、農業の厳しい現実。
なかなか雨が降らない状況でも、腐らず成長をしている玉ねぎは、ビニールハウスでの育苗管理がしっかりとされている証拠です。
そして、玉ねぎ栽培で特に大変だと言われているのが除草作業。
家庭菜園などで玉ねぎを育てる場合には、除草剤などを使わなくても管理できますが、畑で玉ねぎを栽培するとなると除草剤は必須。
また、北海道は他の地域と比べて農薬散布の回数が多い傾向にあります。
除草剤をなるべく使用せずに、雑草対策するためには、できるだけ早期から草刈機などで対策する必要があります。
除草管理を一切しないでいると、大きく育った雑草が玉ねぎの収穫機に挟まったりして機械の損傷リスクが高まります。
面倒くさがらずに、こまめな除草作業をしましょう。
収穫
ビニールハウスでの苗づくりから水やりと葉切り、畑づくりと除草管理をして、ようやく収穫に取り掛かります。
玉ねぎの収穫には、以下2つの機械を活用します。
- デガー
- ピッカー
まず、畑に根を張って育った玉ねぎをデガーを使用して掘り起こします。
畑に移植された玉ねぎたちは、1列ずつ均一な幅で植えられています。
ピッカーで収穫しやすいよう4〜5列ずつになるようにでデガーで掘り起こし寄せていきましょう。
4〜5列間隔で寄せられた玉ねぎを収穫するのが、ピッカーという機械。
ピッカーの先端には、ベルトコンベアーで玉ねぎを拾い上げてくれます。
ピッカー後方には、コンテナを設置してあるので上がってきた玉ねぎはコンテナに入って収穫します。
デガーとピッカーどちらとも、一人で操作でき操作も簡単なため、効率的に収穫したい方には便利な収穫機です。
選別
収穫された玉ねぎは、コンテナの中に敷き詰められた状態で選別機へとまわされます。
選別機では、収穫した玉ねぎの玉サイズを選別したり、腐った玉ねぎが混ざっていないか確認。
2人〜4人ほどで選別作業をし、玉サイズを揃え腐った玉ねぎを排除して初めて出荷されます。
農機具を活用した玉ねぎの栽培・収穫方法
今回ご紹介した玉ねぎの栽培から収穫までの過程の中で、いくつか農機具が登場してきました。
これから玉ねぎ栽培を始めてみようと検討している方や、もっと効率的に栽培から収穫まで行いたいと思っている方は、中古農機具を活用した栽培をご検討してみてはいかがでしょうか?
農機具を新品の状態で買うと、車と同じぐらいの価格で販売されているものもあります。
そんな簡単に手を出せるものでもないので、結局買わずに人の手だけで作業している方も少なくありません。
そんな悩みを解消してくれるのが、中古農機具の活用。
市場には、中古農機具が多く出回っており今回紹介した玉ねぎの農機具ももちろんあります。
全て手作業だと、玉ねぎだけで精一杯だったのが、中古農機具の導入で効率的に栽培でき、他の作物も育てられる時間が確保できる。
農機具を活用すると、栽培と収穫、そして多くの作物を育てられる好循環が生まれます。
これから、農作業をしていく予定の方や効率的に作物を栽培、収穫していきたい方はぜひご検討してみてください。
まとめ
本記事では、玉ねぎの栽培から収穫までの方法を手順に沿ってご紹介しました。
玉ねぎは、環境によって成長具合が大きく左右される作物です。
北海道と本州では、栽培時期も違ければ方法も違います。
栽培する土地に適した栽培方法で、美味しい玉ねぎを収穫しましょう。
- この記事の監修者