農作業の効率化に欠かせない農機具や、日常生活を便利にする自動車。どちらもバッテリーが重要な役割を担っていることは間違いありません。
しかし、農機具用バッテリーと自動車用バッテリー、それぞれの違いや特徴を正確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか?
使用する環境や求められる性能が異なる中で、どのような違いがあり寿命にどれほどの差があるのでしょうか。
この記事では、農機具用バッテリーと自動車用バッテリーの違いや特徴、長持ちさせるためのポイントなどを詳しく解説していきます。
- [目次]
農機具用バッテリーと自動車用バッテリーの違いについて

農機具用バッテリーと自動車用バッテリーは、使用環境や求められる性能が異なるため、設計に違いがあります。以下に、それぞれの違いと特徴、また、寿命ほどれくらい持つのか解説していきます。
農機具用バッテリー
農機具用バッテリーは、農業機械特有の使用環境を考慮した設計がされています。まず、農機具は季節によって長期間使用されないことがあります。そのため、長期間放置された場合でも性能を維持できる自己放電の少ない設計が求められます。
また、強い振動や衝撃にさらされることが多いため、バッテリー内部の電極や端子が振動によって破損しないように、頑丈な構造である必要があります。具体的には、極版群を樹脂で固定する特殊構造を採用し、振動による内部損傷を防ぐ設計が施されています。
さらに、トラクターやコンバインなどの大型農機具は、エンジン始動時に大きな電力を必要とするため、瞬時に大きな電力を供給できる能力が求められます。加えて、農作業や早朝や夜間に及ぶこともあるため、安定して始動することが重要です。
これらのことから農機具用バッテリーは自己放電が少なく、耐久性に優れた設計となっています。
-寿命はどれくらい?
農機具用バッテリーの寿命は、一般的に2~3年程度とされています。農機具は季節的に使用されることが多く、長期間使用しない期間があります。この間に適切なメンテナンスが行われないと、放電や液不足によって寿命が短くなる可能性があります。
メンテナンス状況にもよりますが、購入から2年以上経過すると不具合が出始めるバッテリーも多いため、この寿命を目安に交換することをおすすめします。
自動車用バッテリー
自動車用バッテリーは、毎日のように使用されることを想定しているため、頻繁な充放電に耐えられる設計になっています。エンジンの始動だけでなく、エアコンやヘッドライトなど、様々な電子機器への電力供給も担っています。そのため安定した電力供給能力と頻繁なエンジン始動に耐える耐久性が必要です。近年では、アイドリングストップ機能搭載者が増加しており、バッテリーはより頻繁な充放電への対応が求められています。
また、自動車は主に舗装された道路での使用を前提としており、農機具ほど強い振動や衝撃を受けることは少ないです。そのため、耐振動性能に関しては農機具用バッテリーほどの強化は施されていません。
このように自動車バッテリーは、舗装道路で日常的な使用に適した電力供給と、頻繁なエンジン始動に対応する性能が重視されています。
-寿命はどれくらい?
自動車用のバッテリーの寿命も、一般的に2~3年程度とされています。これは、日常的な使用や走行距離・気候条件・電子機器の数など、さまざまな要因によって影響を受けます。特に、アイドリングストップ機能を搭載した車両では、頻繁なエンジンの始動と停止がバッテリーに負担をかけるため、寿命が短くなる傾向があります。
また、寒冷地では低音による影響でバッテリーが劣化し、寿命が短くなることもあります。
バッテリーを長持ちさせるためには?

バッテリーの寿命を延ばすためには、以下の点に注意して適切なメンテナンスを行うことが大切です。
1. 定期的なエンジンの始動と充電
農機具は長期間使用しない期間があります。この期間、バッテリーは少量ながら自己放電を起こすため、少しづつ劣化する可能性があります。対策として、使用していない期間でも定期的にエンジンを始動し、約30分程度アイドリング(エンジンをかけたままにしておく状態)させてバッテリーを充電することが推奨されています。
2. バッテリー液量をチェックする
バッテリー内部にある電解液は使用するとともに減少していきます。定期的に液量を確認し、適切な量を維持することが大切です。液量が不足している場合は、バッテリー液を補充して不足の無いように注意しましょう。
3. 端子部分の清掃
バッテリーの端子部分に腐食やサビが発生すると、電気の流れが悪くなりバッテリー性能が低下してしまいます。定期的に端子部分を清掃し、必要に応じてグリスを薄く塗布することで、腐食を防止し良好な接続状態を保つことができます。
農機具用バッテリーの保管方法は?

農機具用バッテリーを適切に保管することで、バッテリーの寿命を延ばし、次のシーズンでも問題なく使用することができます。
1. バッテリーの端子を外して保管する
長期間農機具を使用しない場合、バッテリーのマイナス端子を外すことが推奨されます。これにより放電を防ぎ、バッテリー上がりのリスクを減らすことができます。外した端子は金属部分に触れないよう、絶縁テープで保護するなどの対策を行いましょう。
2. 保管場所を選ぶ
バッテリーは直射日光を避け、風通しの良い乾燥した場所で保管するのが理想です。高温多湿の環境はバッテリーの劣化を早めるため、温度変化の少ない室内での保管が望ましいです。また、火気の近くや金属と接触する場所は避けてください。
3. 定期的に点検する
バッテリーを保管しているときも定期的に点検し、端子の腐食や液漏れがないか確認してください。異常が見られた場合は、早めに対処することで大きなトラブルを防げます。
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まとめ
今回は、農機具用バッテリーと自動車用バッテリーの違いや特徴について解説してきました。
農機具と自動車のバッテリーは、使用環境の違いから設計が異なります。
農機具用バッテリーは、長期間使用しない季節があることから、自己放電が少なく、振動や衝撃に強い設計になっています。一方、自動車用バッテリーは、日常的に使用することが想定されているため、頻繁な充放電への耐久性と、様々な電子機器へ安定した電力を供給する設計になっています。
寿命はどちらも2~3年程度です。使用状況やメンテナンス状態によって変動しますが、不具合が見られる場合や、寿命が近づいてきた場合は、バッテリー交換を早めに行うことが推奨されています。
バッテリーを長持ちさせるためには、「定期的なエンジンの始動と充電」「バッテリー液量をチェックする」「端子部分の清掃」の3つが大切になります。また、バッテリーの正しい保管方法は、「バッテリーの端子を外して保管」「風通しの良い場所で保管」「保管時も点検する」などが挙げられます。